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イマサラ

腐向け/R15/DRRR!!・K66・TIGER&BUNNY中心/いろんな妄想ダダ漏れな欲望全開。

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#02:真琴/ショコラ/バーナビー

主 【なんだか兎が馬鹿みたいに追いかけてくるんですけどっ!?】
黒甘【マスターは何故私に思考ルーチンを?】
兎 【この状況って僕の…せいですよねっ!!】







〈アナタはこの街が好きですか?〉

   いいえ、嫌いです。

〈ならどうして住んでいるのですか?〉

   この街は異常です。だからこそ、面白い。
   そして私が生きていける【最後の場所】だからです。





●#02●





オレ用のヒーローコールは鳴らない。ピカるだけ。
音もバイブ機能もデリったからオレが気付くまでは、どれだけ呼び掛けられようが出る事はない。
所謂マナーモードです。アニエスが知ったらキレるだろうけど殆ど会わねぇし。
って事で連絡手段は殆どケータイ。何せワタクシ、一般人ですから。

『Hello, My Muster.』
「………」

で、掛かって来るとちょっと萎える。今のヒーロー用のケータイだし、コッチからの相手なんか限られてる。
丁度バイクに乗ってたからインカムモード。
すっげー帰りたかったんだけどなぁ…。今日の特番見たいから特に帰りたいんだけどなぁああコンチクショウ!!!
っていうか女の子呼んじゃってんですけど!!コレ一番どうしようだっつーに!!
萎えながらも『さっきHERO-TVやってたっけ…』なんて思い出す。


「何だよショコラ…ハローの時間帯じゃねぇし。帰宅中ですよ真琴さんは。めっちゃ帰りたいんですけど…」

ショコラからって事はやる事は一つ。

『各ヒーロー、報道陣完全撤収。及び報道規制、交通規制完了。今回のアタックポイント8カ所。緊急復旧箇所は2ポイント。PDAにて表示します』
「…オレの言葉は無視か。つかちょっと今外してるから付けるまで待て」
『早急に。交通はともかく報道規制は時間勝負です。【ナンバーゼロ】、出動して下さい』
「更に無視かよ…泣くぞオレ」
『無視はしておりません。が、今が一番動けます。泣きながらでも出動して下さい』

凄いよね。台詞がリアルに鬼だ。
でもコイツは可愛いヤツだからね。ハイハイPDAね。
ちゃんとお仕事しますよマスターは!!あとでパソに録画設定しとこ…遠隔で何でもやっちゃうよ真琴さんは!?
女の子は……二時間くらい時間ズラすか、嫌なら帰って貰おう。別に他の子引っ掛ければいいし。

「ったくもー、泣きながらやるよ…」
『泣くと作業効率が落ち交通事故率も大幅に上がります。マスター、泣き止んで下さい』
「いや泣いてねぇし…」

いい大人だしオレ。
さて、やると決めたならさっさと終わらせて帰る!!切り替え肝心!!

「ショコラ、損害賠償費の予測金額と人件工事費の算出。終わってるトコから表示してけ。各企業へは?」
『緊急ポイントは既に。企業へは担当者へ通達済みです』
「いい子だ」
『……。褒めるより動いて下さい』
「いや、赤信号だっつの。なんかバレそうだったらジャミング流しとけ」

ケータイ越しのショコラに悪態ついても仕方ねぇけど。
コイツは自分の仕事をしてるだけだし。

「…………」


   夜とは思えない明るさと賑やかさの街。
   ステージごとの恐ろしいほどの格差。地上の三層だけが【この街】じゃない。
   有限のエネルギーを、いつまでこうやって使い続けるつもりやら。
   なーんかねぇ…
   異常なんだよね。【外】から来たオレにとっては余計に。


「つかなーんで事件って夜ばっかなんだろ…」
『真昼間に堂々と事件を起こすほど愚かな犯人ならば警察だけで十分かと』
「でも眠いしー。ただでさえ昼夜逆転してんだぞ?」
『マスターは現在でも十分昼夜逆転しておりますゆえ関係無いのでは?』
「何だよお前、反抗期か?」

まぁね、昼間に起こったってオレは【秘密の存在】で夜まで動けないから結局そうなんだけど…
正直に夜更かしはお肌の毒だっつの。もうオニーサン、お肌カッサカサだわ。
仕事終わりに追撃で仕事入れられたら、悪態の一つも付きたくなるっしょ普通?
いくら相手が『パートナー』でもさぁ。



オレの相棒、人工知能マシン【Chocolat】。
下手にボディを作らず本体マザーは某秘密の部屋の地下にある。
数百台のスパコンを連結させたものと、シュテルンビルドの科学者達の頭脳から生み出された【ナンバーゼロ】だけの専用マシンだ。
他のヒーローがスーツやアーマーを持っているのと同じ感じ。各大手企業のヒーロー事業部や開発部がオレ専用に作り出したサブナビゲーションシステム。
流石にスパコンとか、そんな巨大なもんを持ち歩ける訳もないので。独自周波数を作って普段はケータイかイヤーカフで耳で受信してる。(オレ、ピアス怖い…)
起動時には仕事をするためのスカウターゴーグルやアームパーツになったりと、その他色々トランスフォームしてくれる便利な技術を持ってる訳。
その超膨大情報処理スペックで、オレに何処を直すかを指示したり何したりと……。何でオレを『マスター呼び』になってるのかは誰の趣味か分からんが。
制作チーム曰く【今現在の世界最高傑作】、らしいよ?

(どうせ金が入れば【型落ちプロトタイプ】呼ばわり…。まぁもう一台を作れるほどの予算が有る訳ねぇけど)

アイツらの【最高傑作】のたかが知れてた。
もし本当の最高傑作なら、出来上がって貰ったその日の内に中身をオレにいじり倒されたりしねーだろ。オレ好みにプログラム変更しまくったぞ。
正直普段は音楽ソフトも入ってりゃグルメナビまで何でも入ってるスマフォとI-Podの合体作。スペックがあまりにも勿体無いからみんなにも検索ナビとか使ってもいい事にしてるし。
わざわざそんなプログラムを追加で作りたくもなるほど、ショコラが凄いってこと。そしてオレは暇人だったって事。
オレが生きてる間は、ショコラは【オレの最高傑作】にし続けたいなぁ…っていう、淡い希望有りまくり。


「…なぁショコラ」
『はい』
「お前ってオレに愛されてる自覚ある?」
『有りません』
「まだ無いかぁ…中々時間掛かるなぁ」
『大きな独り言は他者から不審がられます。考え事を全部口から出す癖は治らないのですか?…3ブロック先を左へ』
「大事な考え事は黙ってますー」

ショコラはこのシュテルンビルドを一番把握している。国の軍事衛星も一台借りて、ショコラ専用に改造して飛ばしてるし。
………。
別にいいんだよ何百と沢山飛ばしまくってるしどう考えても余ってるから借りたって。ケチんなって事!!
【オレの最高傑作】ならそのくらいの機能はつけてーじゃん?衛星も軍事用ね、軍事。コレがポイント。
っていうか。
まぁ、ぶっちゃけ。軍事衛星を飛ばせる金が、たった一個の街に有るわけねーだろって話。






緊急復旧ポイントは大抵道路やモノレール。まぁ交通機関に電力関係。
一般市民の日常生活に支障が出る部分から。

(早急ポイントはゴールドステージの高速か…誰だよこんなにでけぇ穴作ったの…)

バイク飛ばしながらPDAの現場画像をチラ見すればまぁ…もう見事な大穴がボッコリと。
どう考えてもやったのはパワー系のあの二人のどっちかだ。毎回毎回溜息出るわー。
金属板みたいに同じ威力で下から叩けばバコン!って戻るもんじゃねぇんだぞ?!
正義の壊し屋!!と、新人相棒!!あとで直す方のことも考えろっつの!!

「ショコラ、復旧ポイントの見事なクレーターは誰が作った?」
『三箇所御座います。手前から一つ目はロックバイソンに大型トラックが衝突して出来たもの。二つ目・三つ目はワイルドタイガーとバーナビーが息が合わずに標準を外した跡です』
「チッ、相変わらず相性悪ぃな馬鹿二人が…良く『バディ』とか宣伝出来るなアポロン。怖いもの知らずのイボジジィ。んで、犯人からの被害は?」
『今回犯人による損壊は店舗の破壊、銃弾での道路壁の損傷及び逃走車両横転によるものです。一般人ですのでNEXT能力によるものはありません』
「ほー?んで【ヒーローが犯人より街ぶっ壊す】ってどういう了見だアホが。そろそろぶん殴るか…」
『事件当時をご覧になっていないのでしたら映像を流しますが』
「今は止めて事故る。オレ死ぬから。んで、犯人捕まえたのは?」
『報道では【スカイハイ・ファヤーエンブレムの連携により】と。最終的に捕獲ポイントはスカイハイに入りました』
「ふーん?何それタッグで確保って珍しー」

炎と風の組み合わせならすっげー攻撃になっただろうな。
っていうか、それはつまり【大火事竜巻と巻き込まれて爆発したであろう犯人の車跡の痕跡】も消さなきゃならんって事が分かってしまったのが悲しいけど。
犯人、丸焦げじゃねーの?あの二人の同時攻撃で良く死ななかったな…。


   「ショコラ、その時の二人の攻撃モーションとエネルギーの質量算出。最小値・最大値・消滅までの経緯を時間軸のグラフで」
   『了解しました』


家に帰ったら分析してみよー。
二人の能力最大値も測らねぇと。合わせ方が上手く行けばそれこそ凄いタッグ技になる。
けど間違えば共倒れ。どっちのエネルギーも消滅する。つーかその可能性の方が滅茶苦茶高い。それは避けたい。
生中継でソレは……流石に超格好悪いじゃん?
別にヒーローだしタッグ組む必要は無ぇけど、一応ね。『事によっては超危無い』って事を言っとかねーと。

「…てかさ、何で二人が同時攻撃?」
『実際はファイヤーエンブレムの攻撃中にスカイハイの竜巻が入っただけのようです』
「…怖っ…」

一気に血の気引いた…。
多分キース、何も考えずに援護に入ったつもりだ…。アイツはネイサンを爆死させる気か!?
中学生の科学をちょっとやってればどんだけ危険か分かるはずだぞキース!!考えるより行動派過ぎる!!
ヤツにはもうちょい【化学反応】というものを勉強させよう!せめて他のエネルギー放出型のヒーローとの組み合わせだけでも!!
どうせネイサン、キースに甘いからしっかり説教しねーし…

「つかソレただのポイント横取りにならねー?ネイサンにポイントは?」
『【スカイハイとの連携】としてポイントは入っております。が、ポイント獲得量はやはり最終的に捕獲したスカイハイが上です』
「ま、どーせ譲ったんだろうなぁ」

そして見返りはキースの身体だろうけど。
キースにセクハラしても気付かねぇからヤリ損な感じはあるけどなぁ…あ、でも逆にキースからすげーハグされてそう。
んでまた牛に嫉妬させようとすんだよアノ悪女が……つか、毎回アントンって嫉妬してんのかなぁ?
まぁ、ガキならともかくアダルトな大人の二人のアレコレは他が入ってもしゃーねーし。

「んーで、相変わらず壊すだけ壊してポイント取れねーのなあの二人。一番乗りの癖に。いい加減出オチ担当かっつの」
『タイガー&バーナビーの能力はマスターにとって迷惑極まりないモノ。負担になるようでしたら上と掛け合いますが』
「気遣いどーも。もう虎徹の後始末は十分慣れてるし、コンビ組んでからバーナビーがポイント考えて動くから被害も減ってる。ありがとなショコラ」
『……。申し訳ございません。感謝をされる意味が分かり兼ねます』
「分かんなくていーよ。オレが言いたかっただけ。媒体をイヤーカフに移しとけ」
『了解しました』











軍事衛星の交渉の時、当たり前だけど渋った国防省の奴らにハッキリと『死にたくなかったらさっさと貸せ』って言った。
オレは悪いけど遠慮無く脅すよ当たり前だろ。この【シュテルンビルド】はNEXTの温床だぜ?
そのNEXT達は、全員がヒーローみたく【正義感】で動いてねぇんだよ。
一国だって簡単に敵に回せる街じゃ無い。この国にとっては癌とも言える存在だ。つーか国が完全に持て余してるし、正直殆ど自立国状態に近い。

「っしゃ、復旧ポイント到着」
『道交法違反のスピードでしたが。60kmオーバーです。関心致しません』
「そういう時のお前じゃん。Nシスもオービスもノイズ混ぜてくれてんだろ?」
『任務遂行が第一ですので見逃しましたが、マスターは普段もオーバー気味です』
「まぁそう固いこと言うなって」

アッバス刑務所の奴らを開放したり、言ってしまえば人道的意思を無くせばヒーローだって敵だ。ソコいらの軍隊よりも確実に強い。
まぁ…NEXT軍隊だけじゃ持ちこたえられないのは目に見えてるし持久戦は無理だ。だからこその脅し奪った軍事衛星。


   オレとショコラの存在理由は二つ。
   一つはこの街の人々は全く考えた事も、考えようとも思わない事のために居る。
   

まぁそんな感じでスパコン数百台の情報力に軍事衛星からの監視諸々の合体作が『Chocolat』。
思えばオレって、素敵なものを頂いちゃってる訳なのよねー。

「あのなショコラ…知ってるか?オレがわざわざスピード違反をしているのには理由が有るんだよ」
『どう処理をしても毎回遅刻としか認識出来ません。点数ももう殆ど残っておりませんが何か大層な理由がお有りなのですか?』
「ありますっ!」

遅刻は毎回じゃない!!
あと点数のこと言うな!!忘れたい!!
バイクスタンドを降ろして、取り敢えず歩きながら説明しようじゃないか!!

「いいか?バイクをぶっ飛ばしてスピード出しまくると【人間は風になれる】と言われている」
『お疲れでついに世迷言ですか?人間はスピードの加減次第では肉体が風圧に負けて吹き飛ぶか、潰れ死にます。スカイハイの能力が良い例です』
「違う、風になれるんだ。オレはそれを目指してスピード出してんだよ」
『ですが過去に風になった人物も迷信その他も一切検索ヒットしません。物理の法則がネジ曲がってしまうような現象が人体には起こりうると仰るのですか?』
「タイムスリップだって過去に実際沢山記録残ってんだろ?時として人間は超常現象に巻き込まれるものなんだよ。そしてそれは現代の法則や数式じゃ解けない」
『………。人間とは不思議な生命体なのですね…処理が追いつきません』
「そういう分からないモノや事を素直に受け入れる事こそスゲーと思わね?《コサインは金魚すくいの為にある》って言った学者だっていんだぜ?でも確かにそうだわーって納得したしオレ。その数式見て更に超納得」
『確かに三角関数やピタゴラスの定理を使えばアミの入射角度の計算には役に立ち、金魚をすくえる一番良い角度が出せます。しかし金魚すくいの為のみにコサインが存在している訳ではありません』
「けど縁日で理系は金魚すくいで勝ち組決定だろ。世の中小難しい法則や計算式が何の生活の知恵に役立つか分からんって実感した」
『まず金魚の重量とアミまでとの正確な距離も数字も出せない状況では正確な計算が出来ません』
「大体でいいんだよ」

ショコラには元々決められた人工知能だけで【自然学習プログラム】や【思考ルーチン】なんか付いちゃいねぇ。オレが勝手に付けた。
性別も別にどっちでもいいんだけど、やっぱ思考ルーチンを入れたからにはって事で【女性】にした。名前的にも。
バレてはいない。メンテはオレがやってるし。つかバレても取り除けるようなヤツはいねーよ。ガッチガチにプロテクト掛けてるし。
マシンだからこそ真面目だけど、こういう事も信じちゃうのも可愛いんだよなショコラ。
そしてオレはコレによって『クール素直なツンデレ好き』と言う自分でもよく分からん自己発掘をしてしまった。
多分どんな女の子でも大体は好きだって事なんだろう。コレはオレの親馬鹿です。

さて、KEEP OUTへお邪魔します。


『マスター、話を戻します。ではマスターは【風になりたい】が故に道交法スピード違反という犯罪を犯しているのですか?』
「え”?あー…」
『軽犯罪であれ、個人の私的理由により法を犯すのはいかがな事かと存じますが。それに、もし仮に超常現象に合い風になられた場合、マスターはまた人間に戻るのですか?』
「うん、戻んじゃね?」
『どのような方法でしょうか』
「………」


   いや、知らんけども。
   なったヤツも知らなければ……確かにどうやって人間に戻るんだろう?


『理にかないません。超常現象の存在は認めます。実際NEXTとてカテゴリー分類すればそうなります。しかしマスター、人間は風になれません』
「……。ハイハイすいませんね、ただの比喩ですよ…」
『何故マスターは素直に反省しないのですか?そちらの方が私には余程理解不能です』
「……………」
『己に後ろめたい事をしているという自覚があるから言い訳をするのであれば、『最初からしない』という選択肢を選ぶべきかと』

あーもー!!
こういう質問責めが可愛くない!流石はスパコンでもどっからこんな古い事を検索してくるんだよ?!
なんかこう…淡々と怒られるのって感情的よりも腹が立つ!!
この理詰めの説教が一番好かん!!毎回言い返せん馬鹿な事を言うオレもオレだけどさ!!

「……。よし、今の話は水に流そうぜ。忘れろ」
『私はマシンですので忘れる事は不可能です。忘れたいのはマスターです』
「んじゃ次のメンテでソコだけ記憶回路のデータ抜いてやるよもぉ…」
『そんなに恥ずかしいことを仰っていらしたんですね』
「そうだよっ!!でも金魚すくいは本当だかんな!?ウォータイースライダーとかも同じ計算法で設計してんだぞ!?」
『それは知っていますし理解も出来ます』

あーあーヤダわぁ、馬鹿言ったわ。
これでまさかのショコラが記憶データにブロック掛けて守ってたらオレはキれる。
絶対に今のは徹底的に消してやる!誰も居ないからってオレ恥ずかしっ!自分キモっ!!
何でこうも自己の客観性に穴があるんだよオレは…。
………。
…まぁ取り敢えず『リアルな穴』に到着したし、やる事やってから後悔しよう。


   「【Chocolat】、変形起動」
   『Yes sir』


イヤーカフが一瞬でゴーグル型スカウターと左腕の小型アームパーツに変わる。
どう見ても完全に質量保存の法則を無視している訳だが、理由はオレの能力にあるからショコラも混乱はしない。
んでこのアームパーツがね、一番大事なわけ。
復旧ポイントの地面はまぁ…見事に抉れていたりする訳で…。

「状況は?」
『道路地下に水道管とエネルギー導線が十八本通っておりますがどちらも破裂、破損状態です。現在使用されているエネルギー導線は三本。衝撃によるくぼみは二メートル五センチ』
「……。ショコラ」
『はい』
「見りゃ分かる」

言われなくても水道管破裂で水は吹き出してるし、エネルギー導線もむき出しでバッチバッチ火花散ってるっつの…。
流石のオレでも、見れば分かるよ?
お前のスカウター使ってるから、更に詳細は良く読み取れてますよ?
聞き方を間違えた、という事にしておこう。

「そーれにしても取り敢えずコレ、どうにもならんなぁ……思ったより酷ぇわ」
『カーブ地点ですので下手に重みを加えればマスターの体重でも即座に崩れます。表示エリア範囲以外は行かないで下さい。破損エネルギー導線による大規模爆発も十分予測されます』
「ふーん、オレって今かなり危ない場所に立ってんだな。何故先に言わないお前…」
『言うと恐怖から足が動かなくなるか、興味本位で行ってしまわれるかと思い』
「行かねぇわ。つかこんな危ない状態で何でエネルギー止めねぇかなぁ見栄っ張りが…」


    ゴールドステージの明るさと、道路がぶっ飛んで下のステージの住人達を巻き込んだ大事故と。
    どっちが大変なことかくらい分かるだろうが。


「まぁいつも通り『造り直す』のが最速最善か。…ショコラ」
『はい』

抉れた地面の小石や配管を拾ってアームパーツに入れる。
何で出来ているのか【成分分析】するのはショコラの仕事。こればっかは人間誰しも見た目じゃ分からん。
それにココ、暗いから余計によく見えん。

「二分だ。ここの生きてる配線から繋がるエネルギー達を完全停止。スカウター、暗視モードにリトライ。全部一気に直すからここから500m先まで全解析」
『了解しました』

ゴールドステージでエネルギーストップって結構イヤなんだけど。なんか勝手にウダウダ言われる気分になる。
二分くらいガキどもゲーム我慢しろよ!?しっかりセーブしとけ!!あと企業戦士残業組の皆様、データ管理はバックアップちゃんと取ってくれ!!
その辺は毎回全部ショコラに任せてるからいつも結構不安だよオレ!!


『……解析完了。全ステージオールクリア。カウントダウン、いつでも開始出来ます』
「オーケー。スカウター表示通り、『成分』はいつもと一緒だな?」
『同様です』


   大きく深呼吸して。
   さて、いきますか。


「オペレーション・スタート」

取り敢えず、ベッコリ凹んだクレーター部分ごと道路を【分解】しねーとな。
















『質問が御座います』
「んぁ?」

取り敢えず緊急ポイントは復旧完了したので。
いつも通りのビッカビカで明るいゴールドステージ。さっきの道路は直したし明日には交通規制も解けて皆さん普通に通れるよー。
さてこうして何が悲しくてオレは真夜中に一人バイクで、残りのアタックポイント巡りをしているわけだが。
あと一箇所。結構犯人も頑張ってカーチェイスしてくた後も逃亡してくれちゃって…正直遠いんですけど…。

『マスターは何故いつも復旧作業に大幅に時間を取るのですか?先程とて三十秒も掛からず復旧は終わりました』
「何処で誰が見てるか分かんねーだろうが。それにオレたちが逃げる時間も含めてだよ」
『衛星にて半径一km以内にて観測者の不在は確認しております。逃走する理由が不明です』
「その一km以外の人間たち全員の行動予測演算が出来た訳じゃねぇだろ?不意に誰がって事は必ず有る。それにオレは一般市民だから【凶悪NEXT扱い】で捕まんの」
『マスターが捕まる理由が見当たりません』
「オレたちは【存在しない】。認知度ゼロだから公共物に手ぇ出すと捕まるんだって」
『…理解はしているつもりですが、どうにも理不尽な扱いに不当なレッテルとしか判断が出来ません。悪事も働いておらず【凶悪】と決め付けるのは何故ですか?』
「納得出来ねーのはオレもだけど、ソレも人間ってヤツなんですよ。全部が全部、そういう人間じゃねぇから」

既存の人工知能に手ぇ加えるのは中々難しいし、負荷がとんでもない事になる。
だから後付の【自然学習プログラム】にしたけど、やっぱ遅いっちゃ遅い。まぁこうやって【疑問に思う】って事が出来るようになったからゆっくりでもいいけど…。
なーんか複雑な親心って感じ。

   「帰ったらちょっと弄っとくか?」
   『報告が遅れましたが、どうやら私は【マスターのメンテナンスが嫌だ】と学習したようです』
   「え、マジで反抗期?!」


なんだ突然?!そんな設定は組み込んでないぞ!?自然学習のパワー?!
えっ、なんだ!…えー、何でだ!?
ショコラどうした!?オレなんか組み間違えたか!?それちょっと街から追放レベルで困る!!
お前の本体はこの街をもう一個楽勝で作れるくらい金掛かってんだぞ!?

『反抗期と言うモノはありません。私はマシンです』
「…けど今お前、オレに反抗したじゃん…」

そりゃ【絶対服従】は外したけどさぁ…そういう何でもYesな従順プログラムが嫌いだから、超勝手に思考ルーチン付けたのに。
つか超勝手にくっつけたから色々困るのお前が壊れたら!!膨大なスパコン達を一台ずつチェックするってオレ死ぬわ!!

『何故そのような不安定なのですか?』
「お前がオレのメンテ嫌いとか言うからショックと大いなる焦りだ。つか何で?」
『マスターからのメンテナンス後は、たまに私自身が把握できない『感情』というものが発生します。処理が出来ないのでとても混乱します』
「……………」
『私は【No.0専用パーツ:default name "00"(ダブルオー)】です。何故マシンに人間のような感情を付けようとするのですか?何故私に【Chocolat】と名付けたのですか?』

   
   ふむ、何だかんだで結構色々考えてんじゃん。
   好きはともかく【嫌い】って言えるようになった。順調順調。いい子だな。
   やっぱのんびり育てよう。
   
   【その日】までに、間に合えば良いから。


「名前はオレがショコラケーキが好きだから」
『フランス語と英語が混ざっております。しかしながら…でしたら私の名前は【Chocolat cake】となるべきでは無いのでしょうか?』
「んな事言ったら正直お前の名前は【味ぽん】になってたけど…」

最後の二択で、味ぽんかショコラかで相当悩んだんだけどオレ。
味ぽんだったら性別は【男性】に設定してたかなぁ…。今のショコラと殆ど変わらない性格してそうだけど。

『マスターのネーミングセンスは一体どうなっているのですか?商標登録されたモノから名前を取るなど理解が出来ません』
「元からねーんだよほっとけ。それにオレはお前の事、自分の専用パーツだなんて思ってねーし」
『それでは私の存在意義は無くなります』
「【オレのパートナー】じゃないのーん?つかオレはそう思ってる。お前は元から喋れるし思考ルーチンで更にこうやって会話も可能だ」
『思考ルーチンはマスターが後から付属したプログラムです。私に必要性は感じません。何故ですか?』
「お前くらいのタフなハードじゃねぇと出来ねぇから。普通は即オーバーヒートでお蔵入り。オレは寂しがり屋なのー」
『マスターは…。ついにご友人様達から見切りを付けられたのですか?』
「【ついに】ってなんだよちゃんといるわ。あのな?理由はちゃんと-っ!?」

一気にスカウターゴーグルが起動する。

『衛星より確認。やはり来ています』
「あー…。ったく誰だよストーカーとか。マジキモイんだけど…」
『マスターが独り言を言い続けているように見られるので、やはり不審者と思われたのでは?』
「今日のお前は随分饒舌だな?帰ったらオレが全身全霊を込めてもっと言えるように全力でメンテしてやるから覚悟しろ!!」


まぁ冗談はさて置き、さっきからマジでずっと付けられてる。
折角ショコラにいい事言う場面だったっつのに!!
オレのバイクに発信機まで付けやがるし。ショコラに言われるまで気付かないオレもオレだけど。
ソコまでされたら正直かなり怖い。壊してやったから離れるどころか一定距離まで近づいてきた。
…コイツマジで誰だ?
正直に恨みなんか買い過ぎてもう臓器売っても払えねぇって。逆に誰だか検討が付かん…。

   さっきの『オペ』を見られた?でも別に夢幻って事で普通は信じない現象だけど…
   駄目か。【NEXT】が居る時点でそんな夢幻なんて言葉は通用しねーわ。




「ショコラ、さっきの発信機の解析出たか?」

ショートさせて一応アームに入れてちゃっかり分析はして貰ってんだよね。
抜かりはねーよ?だってマジでストーカーだったら怖いもん!!

『一般商品として売られているモノとは該当しません。部品だけバラして独自開発したモノかと』
「制作者の手癖とか出た?」
『アポロンの者に相当近いです。というか、指紋が検出されました』

パパっとスカウターに表示されるアポロンのヒーロー開発部の写真にデータ。
斎藤と加えてもう一つの指紋照合でヒットしたのが…


   「えー…何でバーナビー?」


何こいつ。
え、じゃあ追いかけて来てんのコイツって事?!
うわ何怖っ!?確かに恨み買うことしたわオレ!!こないだの五桁ペナルティ!!
っていうかそれ、世間じゃ【逆恨み】って言うんだぜ!?

『アポロン社ヒーロー開発部所属、斎藤。そしてバーナビー・ブルックスJr。二名の指紋が検出されました』
「それは分かったんだけど何で追いかけて…てかお前、最初にヒーローは全部捌けたっつったよな?!」
『撤収は確かに確認しております』
「んじゃ戻ってきたってか?!『現場に戻る』ってベッタベタな殺人事件の犯人かアイツは!」

クッソー、斎藤に作らせたって事か。
つかアイツ、追いかけるってどんだけだよマジで!!
斎藤も作成理由を聞いた上で作ったっつーならアポロン本社にこのまま突っ込むぞオレは!!


『追尾相手の映像を出します』

スカウターに出たのは、私服でバイクぶっ飛ばしてる…やっぱりバーナビー!!
こんのっ!私服って事はやっぱり帰ってから追いかけて来たって事になるじゃねぇか!!
いつの間に発信機付けやがった!?オレの職場バレたの?!てかこの分だと家も把握されてる!?
うわー!!!マジでこえぇぇえ!!!ヒーローアカデミー主席の頭脳をこんな犯罪に使うって馬鹿か!そうか馬鹿だな今すぐ事故って死ね!!
ヤバイやばい!ちょっとオレ軽く混乱してない!?

『マスター、若干蛇行しています。そのスピードですと事故での重症が免れません』
「っあ、ごめっ…いや、なんかオレ寒気が…」
『混乱中の走行は危険です。停止を推奨します』
「停止したらストーカーに追いつかれんだろ!てか一km射程距離内に居なかったって事は緊急復旧の時は望遠とか!?」

ヤダそれ超キモい!!っていうかマジ怖い!!
せめてストーカーが美人女性ならともかくハンサムってどゆ事?!ソコ残念過ぎるだろ!!

『落ち着いて下さい。ストーカーと決め付けるのは早合点です』
「いやでも、追いかけられてるよオレ!?」
『追いかけられるだけでは【ストーキング行為を行っている】と決め付ける決定打に掛けます。用事があるのかもしれません。よって現段階では警察機関に話してもストーカーとは断定でk』
「んなの知ってるしそういう真面目法律講釈は聞いてねぇよ!TPOに合わせて喋ってくれるかなショコラさん?!」
『……。分かりました。確かにマスターへの発信機に次いでこうも追尾を続けるのはいささか不審なのも確かです』
「この状況で【いささか】とか表現方法が小さすぎる!勉強し直せ!!」
『私にはまだ相手の目的が判断しかねますので【いささか】としか言えません。原因は思い当たりませんか?深呼吸を三回してから思い出して下さい』

思い出すも何も…

「…バッチリ思い当たるし、向こうが追いかけてきてる理由も分かる」


   オレを見にきたんだ。
   【ナンバーゼロ】について。一体何なのか。どういう事をしているのか。
   それを自分の目で確認しに来た以外に無ぇだろ。アイツ、オレの事大嫌いだし。
   っていうか…正直にリアルストーカーでは無いと切に思いたいんですよ真琴さんは!!


『では相手と交渉しますか?逃走を続けますか?潰しますか?』
「取り敢えず今は二番だ。もう少し考える」
『分かりました。落ち着かれて何よりです』
「内心あーんま落ち着いてはいねーけどな。迷ってる…」
『マスターでも迷われる事もあるのですね?』
「迷ってばっかだっつの。人間は何でも割り切り計算でやってけねーの」

どう考えてもチェイサーとオレのバイクじゃ逃げ切りは不可能。卑怯すぎるだろその鬼馬力。
でも向こうはまともに話をするような顔じゃねぇし。
ついでにショコラよ、『潰す』っていう物騒な選択肢はどっから持ってきた…。

『……。マスター追い付かれます。道交法違反の点数も全て見逃しますのでスピードを上げて下さい』
「おいっ?!」
『マスターが【逃げる】と選択したならばそれに従うまで。衛星から抜き道や裏道、チェイサーで通れない道を全てマップ表示します』
「無理すんな!お前の自己判断での法違反は負荷が強すぎる!!」
『全ての優先順位はマスターの無事。【瑞波真琴の知識と頭脳】しか【私】という存在を扱えません。…そのくらいは私とて分かるくらい、成長したようです』

っだーもー!!!
お前ってヤツはああぁぁあああ!!!こんな所で可愛くツンデレ発動すんなよ事故りそうだよニヤけるっつの!!
オレがすっげーメカヲタなのを分かっての狼藉かお前は!!鼻血出るっ!!まぁ出ないけども!!
色んな企業の開発部の奴らに超自慢してぇぇえええ!!!
取り敢えず街から離れねぇとキースにいつこのチェイスが見つかるか分からん。
せっかくショコラが無理してくれてんのに、そんな事で捕まりたくねぇわ!!





もうアタックポイントと全く関係無い海辺まで走ってきたけどまだ追いかけて来る。

「チッ…バイクのスペック上過ぎんだろ。逃げ切り不可だな」
『何故でしょう。土地勘があるとは思えない場所まで来ています。チェイサーの幅では通れない道まで使っていますが』
「スピード速ぇから全部先回りだろ。他にもビーコン付けられてんのかもだし!もう分かんねぇよ!」


   お前はいいよなチェイサー貰えてさ!!自由に使えるみたいだしソレ馬力すげーんだから!!
   でも小回り全然効かねぇんだよな。アーマー着た上でのバイクだし。そこがネックだから微妙に羨ましくもない!
   コッチはショコラの管理費に維持費にその他で中々お金掛かるしね!!
   つーかそんな鬼みたいな馬力のバイクで追いかけられるって犯人相当怖い思いしてるな!?知りたくないけど分かったよ!!
      

『……。物理演算終了。行動予測テスト、パターン120まで完了』

…物理演算?

「ちょっと待て…。お前は一体何の演算をやったんだ?」
『コレからの此方の逃走における相手の行動パターンの演算です』
「いつからオレに嘘を付く子になった!お前『物理演算』って言ったよな!?何をやらかすつもりだ!!」
『………』
「ちゃんと答えろ!!システム落とすぞ!?」
『相手の追尾目的が不明です。排除します』

やっぱりソッチ系か!
危ない子になっちゃってもう!!お父さんはお前が心配だ!!

「駄目だ!アイツもヒーローだって!!」
『威嚇だけです』
「威嚇だけなら予測テストに120じゃどう考えてもパターン少ないだろ!チェイサーのデータも入れてねぇし相手は移動してんだぞ?!」
『衛星より動きは確認済み。倉庫の合間を縫ってタイヤに穴を空けるだけです』
「事故る!!今のスピードじゃ駄目だっつの!!』

あーもー!!アームを勝手にショートランチャーに変化させんな!!
一応護身用にここは解除しなかったけどこんな事になるって誰が思うよ!!って言うか誰だよこんな怖い機能つけたの!?
あと正直に言えばここだけ厳重ブロック凄いんだよね!面倒でほっといたらまさかショコラに乗っ取られるとは思わんかったムカつく!!
てかムカついてる場合じゃないし!コイツマジでバーナビー殺す気だ!!

「止めろってば!オレを殺人者にしてーの!?」
『追尾目的はおそらくマスターのNEXT能力の把握。それは私の存在と共にヒーローとてマスターの許可無しには知られざる事。勝手に探るなど言語道断。緊急排除対象に入ります』
「入りますけど駄目だっつの!お前、威嚇じゃなくて殺す気だろ?!」
『能力はハンドレッドパワー。五分こちらが持ちこたえれば処分は簡単です。そもそもマスターの敵にもならぬ存在』
「落ち着けショコラ!!」
『彼は以前【五桁】のペナルティを受けた身。許しがたい存在です。排除します。許可を』


   勝手に動くアームパーツは完全にバーナビーを捉えてる。
   オレの腕を勝手に持ってってまで…。

   ……そっか。そういう事ね。


「……。ショコラ」
『はい』

   うん、オレ間違ってなかった。

「お前に人工知能、やっぱり付けて良かった」


   まだまだ子供だけどな。


『何故安堵されているのですか?マスターもTPOに合わせるべきです』
「お前さ、今オレを守るために必死になってんだろ?それは『怒ってる』って言うんだよ。さっきまでのオレと一緒で超ムカついてんの」
『…【怒る】?【ムカつく】…?私が…、ですか?』
「そっ。まぁまだ子供の癇癪みたいな感じで制御出来ねーみたいだけど。お前の場合は冗談も融通もまだ通じないから勝手な【怒り】は危険だ」
『…私はマシンです。マスターの判断違いです。マスターがエラーを起こしているだけです』
「オレは人間だからエラーは起こせねぇよ。今のも嘘じゃない。普段のお前ならオレが今脱臼しそうな事くらい直ぐ分かるだろうが」


   そのくらいあり得ない方向に腕が向いてるから超痛いんだけど!!
   普段はオレに負担が掛かることは一切しない。でも怒りゃしねーよ。
   初めて【怒り】を覚えたなら、さじ加減が分かんねぇのも無理は無い。
   知識はどれだけスパコンで蓄えていても、感情はまだまだ子供だ。


『マスターは嘘を付きます。普段のマスターなら痛いならば痛いと仰ります。人間は判断を誤るもの。瞬時の判断能力の補助として私がいます』
「もー、駄々こねんなって。怒ってないから。もし仮にオレがエラー起こしたらどうすんだよ?」
『マスターは随時エラーだらけですので、もはや私には判断が出来ません。放置です』

随分言うようになってくれてんなお前…。

「ショコラ、それが【人間】ってヤツなんですよ」
『理解不能です』
「ちょっとずつ分かるようにオレがする。絶対してみせる」

   多分オレ、今すげー良い笑顔だろうなぁ。

「一回くらい見逃してやれよ。な?」
『マスターと彼は違います。存在価値も何もかも違います』
「付き合い短ぇのに簡単に判断すんなって。…なぁショコラ」
『マスター、攻撃許可を下さい』
「駄目だ」


さて、ショコラの駄々っ子は何とか収まるだろうけど。
現状はマジでどうにかしねぇと。


「ショコラ、コッチから向こうにコールは?」
『……。ケータイ番号を知りません。ヒーローコールから連絡を入れますか?』

そうだ、ケー番知らねぇわ。
っていうかもうガス欠寸前。ヤバイ。あと思い出したんだけど…

「なぁ、確かヒーローコールって個人同士の利用は出来ても管理はアニエスだったよな?」
『はい。HERO-TVの方で全て管理されております』
「使用履歴でアニエスにバレるだろうけど…ブチキれそうだな…」

   海辺の倉庫を掻い潜って逃走してっけど、流石にもう頭がイカれそう。
   疲れた…オレは一般人様だから鍛えてもねぇんだよ。
   目が回りそう…。

『やはり攻撃許可を下さい。マスターの体調も限界ですしガソリンももう有りません』
「だぁから攻撃はしちゃいかんっつっとるだろうが」
『しかしマスターの能力を使って排除なさるつもりですか?』
「うー…まぁそれを今考えてっ」


     サ ム  イ
 

「-っ!?」


   ヤッべー発作来た…。ホントなんで今日に限って追いかけて来んだよ…
   だから女の子呼んどいたのに…マジサイテー
   ヤバイ…一気に身体が凍る。寒い。

    サムイ…


『マスター身体が痙攣しております!危険です停止して下さい!』
「っは…悪ぃショコラ…。限界…」
『停止して下さい!!』

あーあ、鬼ごっこはオレの負けだ。
オートに切り替えて停まろうにも、身体が震えて言うこと利かねぇ。
結局横に滑る形で何とか怪我はなくても…セルフ事故状態。バイク飛んでった~…

「ってぇ…」

息がもたない。身体の痙攣も止まらない。
寒くて…寒くて…。



ふらつく身体で近い倉庫の前に。鍵はショコラのショートランチャーで壊した。
もう能力出す程頭回ってねぇ。下手に出したら力加減も分かんない。

「…こんなトコで一泊かよ…」

   誰か助けて。

   ヒーローだったら、人の一人くらい、助けやがれ…






◆◇◆







突然真琴さんのバイク音が消えた。
ずっと追跡してたけど、あんな普通のバイクでここまでチェイサーから逃げるなんて、土地勘だけとは思えない。
発信機も直ぐにバレたし、何よりあの能力とサブ機能…。
実際に目で見ても全く意味が分からない。『有り得ない』なんてNEXT能力には言えたことじゃないけど。
それでも僕の憶測だと信じるには難しすぎるほど巨大だ。
向こうはこっちの動きに完全に気づいていた。
多分追いかけてるのが僕だってのも分かっていた。だから攻撃しなかったんだ。

「-っ?!」

いきなり一発鈍い音が響いた。そしてバイクが事故る音。
銃声か?とにかく金属が大きく破壊された音。
急いでソッチに回りこんだら…

(…真琴さんのだ)

倒れてるバイクに、近くの倉庫の鍵は随分大型経口の銃火器で壊されてる。さっきの音はコレか。
そんなもの武器を持っている気配は無かったぞ?あのアームパーツに仕込んであったのか?
いきなりどうしてこんな場所に…。落ち着いて話すって事だろうか?

「…真琴さん…?」

中は月明かりで薄暗い。見えないこともないけど明かりもない。
スイッチをつければ明かりは付いた。電気は通ってるのにどうして…。

「…バー、ナビー…?」
「真琴さん大丈夫ですか?!」

状態は分からないけど倒れてるだけじゃない。痙攣してるのが分かる。
何か病気か?!発作?!確かにバイクは横倒しと言うより滑り壊れていた。
とにかく急いで抱き上げたら…

 
   人間の体温じゃない。
   そう思ってしまうくらい、真琴さんは冷たくて。


「テメーのっ、せいだぞ…っは、追いかけやがって…」
「あとでいくらでも謝ります!!とにかく急いで救急車を!!」

こんな薄着でバイクを飛ばせば確かに寒い。バイカーなら誰でも分かる。
だけど真琴さんは、何かが違う。そういうのじゃない。
急いで革ジャンを着せてケータイを出したら。

「止めろ…」
「ちょっ!真琴さっ…」
「テメーで責任っ、取りやがれ」

出したケータイを蹴り飛ばされたかと思ったら。
僕のインナーの首を引っ掴んで…

「うわぁああぁあああっ?!!!」
「黙れようっせー…」

いきなり一気にインナーを破かれて黙れと?!
なんて無茶なことを言うんだと思ったら真琴さんもシャツを脱いで…

   そのまま抱きしめられた。
   正直、もの凄く冷たい。
   体温が全て持って行かれるみたいだ…


「………。あの、真琴…さん?」
「サイテー…折角女の子呼んどいたのに代わりがお前とか…。代理としてちゃんと役割果たせ…」
「…………」


   なんだこの状況?
   いえ、ちゃんとしっかり抱き締めてはいますよ?
   震えは止まらないし、息もゼーゼー言っているし、身体は冷え切ってますから。
   ただ…
   うん、やっぱり僕の経験値が少ないのを差っ引いても意味分からないぞ!?
   ど、どうしたらいいんだろう…辛そうなのは本当だしっ!


「ゴホッ、おまっ…もっと楽な体制にしろよ…あと怯えて離れんじゃねぇ…。何もしねーよボケ…」
「あ、あのっ…これってどういう…」
「あ?ヤりてーの?」
「いえそのっ!!」
「じゃあ…黙って体温寄越せ…」

上目で言われて、思わず生唾を飲んでしまったのを。
どうかバレていませんように…。

「聞こえた…」

僕はサイテーだ。






◆◇◆






どうにもなんねーし、バーナビーしかいねーし。
そろそろ発作がくるから女の子呼んどいたのに何なんだよ…。
取り敢えず発作を抑えるにはコレしかねぇ。だいぶ楽になってきた。


   心臓の音。血流の音。弾力のある跳ね返る皮膚。
   生きている人間の体温。


ある意味コイツで良かったのかもなぁ。
抱き着いて、【生きている人間】を感じていれば収まる。オレの最悪な悪癖。
でもソレだけじゃ相手が満足出来ねぇ歳だから。オレだってそうだ。
ならどうすればいいかなんて。
セックスと直結で繋げるなんて、アホでも分かる。

でもコイツはなんもしねーで済みそう。知識も無さそう。童貞じゃねぇの?
つか…ヤんなくても少し収まるんだな…。

「あの…真琴さん…」
「ぁんだよ…」
「僕の、せい…なんですよ、ね?この状況…」
「他に何か思い当たるなら言ってみろ」
「スイマセン…取り敢えず、風邪引きますし帰りませんか?落ち着いてきたみたいですし、寝てもいいので」
「……何処に…」
「僕の部屋です。流石に一人にさせられません。ゆっくり寝て下さい」
「…………」








◆◇◆









真琴さんからの返事は無かった。
寝てしまってる。でも身体もだいぶ温まってる。
取り敢えずシャツを着せて。僕は素肌にジャケットだけど。
ケータイでタクシーを呼んで…と。
…………。

「あの、相当ドキドキしたんですけど…」

発作を起こした相手に何言ってんだって感じだけど、いきなりシャツは破かれるし抱きつかれるしで。

   正直に強姦されるかと思った。
   ビビりすぎてキャー!とか、言いそうになった…どんだけだ自分…。
   オリエントの黒い瞳は感情が読み取りにくいから怖い。

「はぁ…。そう言えばオジサンの眼は琥珀色だったっけ」

思えばオジサンはまだ日系なだけで混ざっているから髪も少し茶が入ってるし瞳も黒くない。
どちらも真っ黒な真琴さんが、本当の『日本人』ってやつなんだろうなぁ。
…アレだけチェイスしてぶっ飛ばしまくった後なのに、髪の毛サラサラだ。不思議だ。

   僕のせいとか、今日の事とか、また明日聞いてみよう。
   【ナンバーゼロ】についても調べたことを聞かないと。
   それにしても、僕から見てもホントに綺麗な顔してるんだよなぁ…


『不用意にマスターに触れないで下さい』
「うわぁああっ?!」
『静かになさって頂けますか。起きてしまいます』
「なっ、えっ?!」
『【No.0専用パーツ:ショコラ】と申します。マスターに不貞を働けば方法を厭わず殺しますので、肝に銘じて下さい』

何処から声が!?さっきのアームランチャーから!?
そもそも喋るサブパーツなんて…人工知能付きってどれだけ高性能なものをっ!!

「ショ、コラ…と言うのですか?」
『そうです。マスターより名前を頂きました』

声質が変化する。きちんと感情と抑揚がある。会話が成立する。
人工知能だけじゃない…

『バーナビー・ブルックスJr。私は【怒り】という感情を覚えました。そして今現在もアナタに対して怒りを感じております』
「………」

自動学習プログラムまではまだ分かる。だけど感情を覚えるって…
思考ルーチンも入ってる。こんな難しい物を…しかも技術は半端じゃない。
マシンに『自己判断と考える』と言うプログラムを組むことがどれだけ難しい事かは、少しマシン工学を学べば直ぐ分かる。
だからアニメの世界みたいに、ロボットが自分で考えて人間のように喋るということは。
まだこの現実には出来無いはずだ。

「ショコラ、質問だ。君に思考ルーチンを組み込んだのは誰だ?」
『現段階でお教えする事は出来ませんし、私は貴方にしたくもありません。死にたくなければ今はコレ以上【私と瑞浪真琴に対する詮索】を止めなさい。何処からでも見聞きしております故、本当に殺します』

そこまで言って、アームパーツが消えた。

……。
消え、た?

「なっ、な…」

なんだ今の?!凄く怖いことを言われたぞ僕?!それにアームパーツは何処に消えたんだ!?
真琴さん専用のセコム?!ちょっ、起こして聞きたいけど起こしたら殺される!!
落ち着け僕!!まだ時間はあるんだから!まずは起こさないように自宅に寝かせよう!!
それにショコラの事もだ!真琴さんは理解してるのかこの凄さを!?していないなら勿体無さすぎる代物だ!!
これだけのプログラムが組めるなら父さんや母さん達の夢だって…
誰が開発したのか絶対に吐かせてやる!!
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プロフィール

寅丸

Author:寅丸
アニメが終わってからデュラの存在を知った可哀想な感じの人。原作しか知りません…orz。きっと静雄と派生が好きだと思う。ケロロは電波黄色と喧しい。10年目でいきなりハマった。なので【今更】。ピクシブ  呟き

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