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イマサラ

腐向け/R15/DRRR!!・K66・TIGER&BUNNY中心/いろんな妄想ダダ漏れな欲望全開。

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◆ラビュー・ラビュー (京平)

オーマイダーリン。この世界の憂鬱を消してくれ!


自分は人に悩みを相談をするより圧倒的にされる側だと自覚はある。
だけど、そんな俺でも流石に自己消化出来ない事もある。聞いて欲しい事だってある。

(聞いてくれるかは別だけど…)

ケータイでコールする相手は高校時代の連れの中でも、それこそ生きてきた中で出会った人達の中で【最も人間らしく無い】が。
それでも残りの知り合いや今の連れよりは確実に社会的に真っ当な地位にいるし、話を絶対に茶化さない。
…思えばちゃんと名刺を出せる仕事をしてるヤツが居なすぎるのも考えものだよなぁ。


『…はい、どちら様ですか?』

あー、居なかったか。

「門田だ。カイト、まだ尊寅帰って無いのか?」

声の主はボーカロイドの【KAITO】…を、尊寅に合わせてもの凄く改造されているカイト。
勿論やったのはキチメガ兄貴こと尊廣さん。今は海外支店にいるから尊寅の一人暮らしの為に購入したらしい。
今は『クリプトン』より『サイケデリック・ドリームズ』の方がかなり勝ってるけど、何故かコッチ。
まぁその辺は俺には分からないけど。取り敢えずこのカイト、激しく執事基質だ。

『申し訳ございません門田様。本日はまだ帰宅しておりません。お急ぎでしたら職場のほうに繋げますが如何しますか?』

尊寅の仕事場は東京の真ん中の癖にケータイが繋がんねぇ不思議な場所だからな。
ホントに何の為にアイツはケータイを持ってるんだろ。
繋がっても気が向かないと出ないしメールも返って来ない。

「いや、そこまでしなくていい。けど仕事終わったら俺のケータイに掛けるように言っといてくれるか?話があるんだ」
『承知致しました。かけ直すように全力を尽くす次第です。ですが出来無い確率が高いのを前提にお願いします』
「まぁ…うん、分かってる。でもホント頼むわ…じゃあ」
『はい。失礼致します』

ピッとケータイを切って放り投げる。
カイトも相当苦労してるよなぁ。何せあの『我儘俺様』の世話をしなきゃなんねぇんだから。
何回か会ってるけど、尊寅より随分人間に近い。ボーカロイドに心労掛けさせるマスターも凄いけど。
色々思いながら俺も荷物を纏めて家に帰る。








部屋でのんびりテレビを見てた頃。
漸く尊寅から電話がかかってきた。おい、掛けてから3時間経ってるぞお前。
まぁその日のうちに掛かってきたから随分早い方だけど…。

『オレだ。何だ?』
「よぉ、久しぶり。何かな?ちょっと相談っつーか…」
『らしくないな?オレに持ちかけるような【相談】って何やったんだ?』
「何もしてねぇよ。人間らしく人間らしい相談だ」
『人間らしい相談…?』

何でコイツは相談って言うと何でも『悪い事のモミ消し』にしか考えが行かないんだ。
あー…絶対今、尊寅の頭の損得打算機が凄い勢いで動いてる。
【人間らしい】とか、感情が関わる事は尊寅が一番興味の無い分野な事だし。

『京平、オレにそういう相談はしても時間の損だと未だに分からんのか?』
「どうせ『聞くのが面倒臭い』んだろ?」
『オレの時間が無駄だ。オレに話しても人形に話しても一緒だろ?そう言うのは【オレ向き】じゃない』

素直で結構だ。
確かにコイツは聞かない。聞こえてるけど興味が無いと脳まで到達しないらしい。
それに相手の感情を汲み取る事を【一番の無駄】と考えてる。その作業が嫌いだ。


  「【久しぶりに会う】って事でもいいだろ?時間空いて無いか?」


ある意味本当に尊寅にしか相談出来ねぇんだよコレは。
まぁ…相談っつーか話っつーか……

『…何か【相談を口実にオレに会いたい】という感じに聞こえるが…』
「まぁそんなトコだな。相談は口実じゃなくて事実だし、その後のんびり話でもしようぜ?」
『取り敢えずお前が疲れ切って頭がおかしくなってるのは分かった。お前が壊れて困るヤツも多いし聞いてやる』

良かった、聞いてくれるか。
コイツの場合も結構仕事時間が不規則だったりするからな。
受話器の口を押さえもせずに「カイトー」と予定を聞いてる。カイトはお前のマネージャーか。
それにしても俺も随分な言われ方されたな…。

「なぁ尊寅、先に聞くけど金取るなんて言わねぇよな?」
『取ってやろうか?予定は…えーと、早くなら今週金曜の夜だ。早めに終わる…筈だ、多分』
「んじゃそれで。終わったら俺んち来いよ。飯作っとくから」
『分かった。つか【オレが食える飯】を作れよ?無理なら自分で買って行く』
「じゃあ何食いてぇ?」
『いちご大福。栗羊羹』
「…ソレは飯じゃなくてデザートだ。どうせ今お前が食いてぇだけだろ?」
『何故か今、猛烈に食いたい。あと金つばでも可だ。んじゃもういいか?オレまだやる事ある』
「あぁ、待ってる。…おやすみ尊寅」
『ん』


   そこであっさり切られたケータイ。
   それを握りしめてる俺。

何で毎回コイツには切り際に『おやすみ』って言ってんだろう。

「…恋人気取りかよアホくせぇ…」

付け上がるつもりは全く無いし、尊寅がもし俺の気持ちに気付いても言葉に出さない限りは一生話題に出ることはない。
尊寅は人の感情は相当過敏に分かる。だけどそれに関心も興味も無いから必然的に【非情な人間】だと思われる。

   自分中心に損得の二択。打算的にしか物事を見ない。
   それを完璧に徹底しているから。
   絶対に崩れないから。
   人に好かれる要素が一切無いのに、逆に人を惹きつける何かがある。


「……不思議なヤツだよなぁ…」

それに巻き込まれてる俺。久しぶりに聞いた尊寅の声。
相談はガチだけど、【尊寅が来る】って事にも馬鹿みてぇに緊張してる。
どんだけガキだ俺は…。









こうして金曜日。

「疲れたぞ…」
「全然早く終わらなかったな」

尊寅が来たのは夜も九時を回る寸前だ。
グッテグテに疲れてるのに、ちゃんと来てくれた。
律儀に【相当遅くなるから飯抜きで】って一本電話くれた。一言だけ、言うだけ言って切られたから…

「そんなに疲れてんなら日を改めても良かったのに…」

と、言う暇が無かったしリダイアルしても繋がらなかった。
こいつ、リダイアルが嫌だから速攻で電源切りやがった。

「今日以降に時間が作れるならオレもそうした。だけど悲しい事に休みが無いし、オレは約束を破りたくない」
「そりゃ嬉しいけど自分の身体も労れよ。あ、楽器は奥にな?重そうだな相変わらず…」
「おー。肩の外れ癖が付いたら間違いなくコイツのせいだ」

ローテーブルを挟んで、尊寅はズドン!!と楽器を置いて鞄から何語か分からん書類を出して読みだした。
楽器は誰にも触らせない。ケースに入ってる今は『不慮の事故』でなら触ってもギリセーフ。運ぼうとしたら本気で殺されかけた。
尊寅は今の仕事に関しては病的にストイックだ。まぁ楽器は聞いたらウン百万円と言われたから怖くて触われねぇけど。
オレはコイツの好きなココアと、一応言われてたいちご大福と団子を出す。

 …ココアなんか、俺は飲みもしないのにわざわざ買って…。

つか、ガキだよな、相変わらず味覚が。横暴過ぎるだろ。

「京平コレやる。暇なら来い」
「ん?」

ぴらっと渡された一枚のパンフレット。
尊寅の所属してる交響楽団の演奏会だかなんだか、そんな感じだ。

「聞きに行くガラじゃねぇよ。チケットくれる訳でもねぇだろ?」
「金出せば押さえとく。オレの職場に金を注ぎ込め」
「絶対嫌だ。つーか…これ日付かなり近くないか?」
「あぁ。今日突然決まったから遅くなったんだ。相当急ぎの仕上げになるからオレの休みが消えた」
「いきなりかよ。何か大変だよなぁお前の仕事も」


尊寅は高校を出ると同時にヨーロッパの方に留学して音楽の道に行った。
俺達がただ知らなかっただけで、コイツはちゃんと小さい頃から、それこそ高校の時も音楽はやってたみたいで。
最初は『嘘だろ?』とか全員思ったけど違った。楽器を演奏する姿は板に付いてるし今じゃ実力も相当な立派な奏者らしい。
数カ月前に日本の有名交響楽団からの引っこ抜きで六年ぶりに帰ってきた。
まぁ人間として何か成長したかと言えば、残念なコトに全く何も変わらず高校時代と性格はほぼ一緒だ。
…変わったといえば、こんな10㎏もある楽器を平気で長時間持ち歩けるくらいか?


「まぁ仕事は何でも大変だ。お前も左官屋だが技術職だし大変だろ?オレには絶対出来ない」
「お前の場合はまず足場から落ちるな。真っ直ぐ歩け無いし」
「人には向き不向きがある。んで?お前の相談ってなんなんだ?」

一つ食べ終わって粉が付いた指を舐めながら、チラっと俺を上目遣いで見てくる。頭まで動かさないのは面倒だから。
コレが尊寅の昔から何度言っても直す気も無い癖だ。
隻眼なのに相当エロい。
男の上目遣いなんか普通は何とも思わないけど、尊寅はその辺の女がするよりも相当効果がある。

「指を舐めるな…」
「煩い」

女と違って本当に子供がやるような仕草でやるからだ…と思うけど。
正直何の色仕掛けだ無意識ヤローが。
最初に狩沢達に合わせた時もコレをして、狩沢はとにかく遊馬崎まで目を血走らせながら呪文を叫び出すし。(凄ぇ怖かった…)
あの相当な聖辺ルリ信者の渡草でさえ、一撃で正面から顔を見れなくさせやがった強者だ。
俺は高校から知ってるから慣れと根性で乗り越えてる。
周りからは『理性の男』とか言われるけど、それは周りが俺より普段からブッ飛んでるからそう見えるだけで。


  俺だって 少し押されたら  相当ブッ飛んでイかれてる。


理性なんて日常と自分を繋ぎ止めるだけのか細い糸。
こうやって尊寅と一緒にいる為の、蜘蛛の糸みたいなギリギリの糸。
贅沢は言わない。
一緒にいれれば、そんでいい。十分だ。

「京平?」
「―っ!悪い、ちょっと考え事…。気にすんな」
「別にしないが話をさっさとして欲しい」
「金つばも買ってあるから機嫌治せって。それ食ってまだ食べれそうならやるから」
「多分入らんから土産に持って帰る」

すんげー不機嫌だった表情が通常値の無表情まで戻る。
ここまで戻っただけでも、相当機嫌が良い証拠だ。食い物で釣れるってホントガキだよなぁ。
こういうのが俺にはツボで可愛いんだろうな、多分。自分でも知らなかった。



「そんで、いい加減相談って何だ?」

正直もう結構どうでも良いけど、一応そういう口実で呼んだしな。
いつまで言わずに引き伸ばせるか。
相談とかより、普通にこうやって尊寅と喋っていたい。

「そんなに急かすなよ。明日も仕事か?」
「半休。午後から」
「なら泊まってけ。こんな時間だし明日の朝帰ったらどうだ?」
「んー、じゃあパジャマ貸せ」
「はいはい。ブカブカだろうけど文句無しだぞ?お前細過ぎんだよ。飯食え飯」
「食ってる。生きてるのが何よりの証拠だ」
「んなドヤ顔しながら言う台詞じゃねーだろうが」

ムッとしながら杖で軽くこづかれた。だからお前って面白いんだよ。一緒にいて楽しい。
パジャマ代わりの服を出してる俺を後ろから睨んでんのが痛いほど分かる。つか、視線マジ痛ぇ。
尊寅は背は並に有るし別にヒョロい訳でも無い。ただ無駄なモノが何も無い身体の上に顔小さいから華奢に見える。
そう言えば高校の頃は、良く臨也や静雄を止めに行った巻き添えで他の学校の奴等に一番に目ぇ付けられて…


「なぁ尊寅、お前って【最強護衛艦を引き連れた最強のお姫様】だったよなぁ。戦艦大和かお前は」
「オレは戦艦だったら長門がいい。つかいきなり何の話だ?オレは姫になった事無いぞ」
「いや、何か高校の頃思い出したらそうだったなーって」


尊寅が強いことを知らない奴等に良く人質にされてたっけ。無知は罪で怠慢だとつくづく思った。
勿論尊寅は自分に関係無いから一切動くこともなく人質でボーッとしてたけど、問題は静雄と臨也だ。
『尊寅に触ったな?』で一時休戦の結託戦争。人質はノンビリと終わるのを待ってるだけ。
下校の時に絡まれたら新羅がメス出して公道で相手を『麻酔無し解剖』しようとするし。
……まぁそう言う俺も、あんまりな場合によっては出撃してたけど。
一番強い尊寅は。一番強い癖に。
利益も無いし、俺達が勝手に何とかするのを分かってるから「さっさとしろよー」と遠巻きに声を掛けるだけ。

「高校の頃?」
「ま、あんま気にすんな。ほれ、こんなんしか無いけどいいか?」

ポスっと渡したのはスエット。どう見ても尊寅には大き過ぎる。
それをバサっと広げてじーっと見てる。

「『大きいだろう』とは思ってたが大き過ぎる…」
「でもそれ俺の普通だぞ?」
「世の中限りなく不公平に出来てるな……何か憎たらしい…」
「何でだよ…。部屋着に文句言われてもどうしようも無いだろ」

戻りついでに冷蔵庫からビールを出して取り敢えず一気に喉に入れる。
尊寅はボスっとスエットを置いてなんか不満気だ。珍しく表情で苛ついてるのが分かる。
…どうしたんだ?
滅多に感情を表情に出さないのに。

「お前の身体はどうなってんだ?どうやったらそんなにガタイが立派になるんだ」
「悪い、何言ってんのかサッパリ意味分からん」
「オレは別に背が低い訳でも華奢な訳でも無いのに……肩幅が欲しい」
「今さら無理だろ。誰かに何か言われたのか?」
「こないだ臨也に会って言われた。『レディース入るよね?』とか。聞かれた意図は分からんが、取り敢えず事実だから腹が立つ」
「あー…ちなみにサイズは?」
「悔しいがLが結構丁度いい。けど袖が足りないから夏のTシャツ程度だけどな…」

確かに臨也には言われたくないだろうな。殆ど背ぇ変わんねぇしアイツも華奢だ。
あと質問意図はどう考えても【女装させようとしてる】と思う。まぁ着せようものなら『さよなら臨也先生』だ。

「あんま気にすんな。別に女に間違えられる訳でも無いんだろ?」
「日本に戻ってからは無いが、向こうじゃ散々間違えられた。胸が全く無いのに何で間違えるのか理解が出来ん」
「だったらやっぱもっとしっかり飯食え。細いのにタイトな服ばっかだからじゃねーの?ブカっとした服とか」
「こういうのか?」

ぴらっと見せる俺のブカブカスエット。

「オレの場合はダボ服は余計に華奢に見えるらしいからヤダ」
「案外似合うかもしれねぇぜ?ちょっと待ってろ」

意外と自分の外見気にしてたんだな。華奢に見えること。
まぁ尊寅は服好きだったしなぁ。確かに顔が小さい分ダボ服着ると華奢が際立つか。
俺はお洒落や洋服よりも、まずは【その隻眼を気にしろ】と言いたいけど。

  「そらよっ」
  「んぉ?」

バサっと着せたのは俺の普段着。

「おー、別にいいんじゃねぇか?好みじゃないだけで似合わないとか無いと思うぞ?」

うん、別に何着ても元から似合う顔立ちだし。
お洒落とか俺には無関係な言葉だけど、違和感は無いと思う。

「……京平、大変だ…。袖から指先しか出ないんだが…」
「まくればいいだろ?そういうブカブカもいいんじゃねぇの?」
「お前との体格差を体感させられて何がいいんだ…。ショック大き過ぎるぞコレ…」

嫌そうな顔をしながら尊寅が上着を脱いで俺に投げてくる。
これ、スエット着たらまた機嫌悪くなるか?





「…お前はアレだな。何か表現がしにくい性格だ」
「と、言うと?」

【ココアでいちご大福を流し込む】という、甘党の静雄でも多分無理だろうって事をしながら。
ホントにチビチビ食うよなぁ…。
胃が小さいのは知ってるけど一気に食えんのかお前は。

「大体のヤツの性格は基本的な音楽記号で表せる。でもお前に当て嵌るのが見つからん」
「音楽記号が分からん俺にはどうにもなぁ…。そんな事も勉強するのか?」
「大量にあるから【この記号はアイツみたいだ】って覚えるのが一番早いから、結構皆でやってた」

俺ってそんなに難しい性格してっかなぁ?

「じゃあちなみに他の奴等はどんな感じなんだ?」
「静雄はエクストレーマン、『極端に』。臨也はインデチーソ、『安定しない』。新羅はルバート、『柔軟』だ」

うん、中々的を得てる答えだと思う。

「じゃあお前は他の奴等になんて言われたんだ?」
「十中九の確率で【シャウリヒ】か【シュナイデント】と言われてた」
「意味は?」
「ドイツ語で『身の毛のよだつような。ぞっとするような。恐ろしい。不気味』『刺すように鋭い。どぎつい』。こんな意味だ」

凄く的を得すぎてる…。
周りもよくストレートに尊寅に言えたなそんな怖いこと。

「でもお前に当て嵌るようなモノが見つからん。だから難しい」
「色々なんじゃねーの?一つの言葉で纏められる程人間は簡単じゃないって事だろ。曲だって場面によって記号が変わるだろ?」
「お前らほど単純な人間もそうはいないだろ」
「でも尊寅だってその記号だけで表現出来ねぇだろ。今のは尊寅のほんの一部だと思うし」
「他に言われたことが無い。大体合ってるんだろ?」
「んー?」

まぁほぼ九割合ってるっちゃ合ってるけど。
他にも沢山あるだろ?
俺が知ってる限り、そんだけでお前は収まらない。

「面倒臭がり。金に煩い。世間との価値観に極端な相違がある。周りがどうなろうと関係無ければ気にしない」
「…………」
「まぁパッと思いつくのはこんくらいだな。俺でもコレだけ思うんだぜ?」
「ふーん…オレでそこまで沢山あったら尚更京平なんか当て嵌る記号を探すのは無理か。さて…」

一言言うと尊寅が近付いて来た。

「お前、相談なんてもうどうでもいいんだろ?」
「あー…いや、そういう訳でも…」
「一向に関係無い話ばかりで相談するつもりもない。悩んでも無い。気が紛れたのか知らんが【相談は無い】んだろ?」

ジッと俺を見てくるカーボンみたいに何も写さない真っ黒な左目。
確かに尊寅にとっては意味なんてまるで無くて、無利益極まりないから怒っても仕方ない時間だった。

「今のところオレにしか話せない内容は一つもなかった。ただの世間話だ。何がしたかったんだ?」


   ただ、お前と話してたかっただけなんだけどな。昔や今の、なんて事のない話。
   それで満足だから。満足だって、自分では思ってる。
   高望みしないようにしてきた。


「なぁ尊寅…」
「何だ?」
「ハグ。来い」

俺がスッと腕を広げれば尊寅が『かなり意味が分からない』という顔で。
それでも腕の中に入ってきてくれた。
俺の膝の間に座って俺を上目で見てる。


  理性の糸が、切れそうだ。


「ほっせぇ…折れそうだな」
「ほっとけ喧しい」

細い体、小さい作りのパーツ。
俺は尊寅が可愛いんだと思う。
ずっと好きだった。一緒にいる時間が好きで、尊寅が好きで。

「金つば、明日土産に包んどくな?」
「うん…?」

   自分じゃ何にも出来ない。
   隻眼のせいもあるけど、生活能力も一切無いし社会不適合の烙印も見事に押されてる。
   自分じゃ何にもしない。
   だから、こうやって尊寅の世話をするのが、楽しいのかもしれない。
   
   言い方は悪いけど、ペットでも育ててるみてぇだ。


「…しばらく抱きしめてていいか?」
「オレよりもっと抱き心地のいい女やぬいぐるいを勧めるけどな…」

何か、色々溜め込んでて。
話そうにも上手く纏まんねぇし。
だからって他のヤツにこうやって甘えるなんて俺のキャラでもねぇ。

「中々良い布団だ…落ち着く…」
「落ち着くのはいいけど布団じゃねぇから」
「京平はあれだ…昔から落ち着く…。マイナスイオンでも出てんのか?」
「そんなもん出るか。出てたまるか」

上から見れば、相変わらず長ぇまつ毛。綺麗な顔。


「お前、相当具合悪かったんだな」
「え?」
「オレも今日は悪い。だからガラにもなく『無駄口で気が紛れる』という方法をやってみたが…」

腕の中の尊寅が溜息を付きながら、横向きに体制を変えて体重を預けてくる。
確かに今日は、俺でもおかしいと思うほどコイツは余計な話を沢山した。
機嫌も、良くはなかった。

「…お前は落ち着くからな…それ目当てで来たのに…」
「なんかあったのか?」
「さっき話しただろ。急な仕事と…今もう一台の楽器が具合悪くて緊急入院だ。今度の曲はそっちを使いたかったのに…」
「そっか…お前もストレス溜まってたんだな」

そりゃ尊寅だって人間だもんな。
集団生活が合わない性格だし、ストレスも出るか。

「なぁ、しばらくこのまんまでいいか?ダルい…」
「…俺、お前の事好きなんだぞ?んな事したら理性飛ぶ」
「んなもん知ってる。理性が飛ぶ前に意識飛ばしてやる」


   ………。
   何だって?


「お前、俺がお前のこと好きなの知ってたのか?」
「知ってた。まぁだからどうしたって話だが」
「…いつから、誰から聞いた?」
「自分で気づいた。高校の終わり頃からだろ?『コッチ戻ってきてもまだ好きなのか』と、ちょっと凄いと思った」

そうだ、コイツすっげー観察眼鋭いんだった…。
人の感情を見抜く力、誰よりもスキル高いんだ。使わねぇのにべらぼうに高い。

「気付いてんたんなら言・え・よっ!?」
「何でオレからわざわざお前に確認取る必要がある。黙ってたのはお前だ」

   腕の中の無表情が飛んでもなくムカつく!!
   同時に俺、すっげー恥ずかしい!!


「あーもー…何なんだよお前って…」

…なんかもう、どーでも良くなる。悩んでたほうがアホらしい。
コイツのマイペースってホントすげーよ。

「尊寅」
「なんだ?」
「どうせ返事なんて無いんだろ?まぁ、ゆっくり考えてその内返事くれればいいし」
「…答える頃にはじーちゃんになってるかもしれんぞ」
「そんでもいいけど。高校からずっと言える日を待ってたし。気は長い方だしな」
「人生は思うよりずっと短いぞ?」

  もぞっと俺の腕の中で猫みたいに身体を丸める尊寅。
  スラリと綺麗な黒豹みたいだ。

「…お前、寝るなら着替えろ。んな格好で寝れねぇだろ?」
「ん~」

もう寝落ち寸前な尊寅を取り敢えず離してスエットを渡す。
モゾモゾと着替えてるけど…細っせぇなお前。
あとその女子みたいな身体を隠しながらの着替えってどういう事だ?

「…デカイ。ズボン落ちる…」
「直ぐ寝るんだから気にすんな」

見事にブッカブカな尊寅はもう動く気が無いから俺がベットまで運ぶ。オイ軽すぎるぞお前…。
もうちょっとしっかり食わせたいとか、何かそんな事考えながらベッドに降ろして。

   ずーっと何度も何度も言った台詞。
   でも本人に直接言うのは初めてだ。


「おやすみ尊寅」
「…おやすみ」


そして返事を貰ったのも。



(尊寅ぁ、お前カイトが迎えに来たぞ?)
(まだ飯食ってるからほっとけ…マジれみぃ…)
(……カイトすまん。尊寅が動く気ゼロだ)
(ストライキはいつもの事ですから…。門田様、昨晩はマスターがご迷惑をお掛けしました)
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プロフィール

寅丸

Author:寅丸
アニメが終わってからデュラの存在を知った可哀想な感じの人。原作しか知りません…orz。きっと静雄と派生が好きだと思う。ケロロは電波黄色と喧しい。10年目でいきなりハマった。なので【今更】。ピクシブ  呟き

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