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イマサラ

腐向け/R15/DRRR!!・K66・TIGER&BUNNY中心/いろんな妄想ダダ漏れな欲望全開。

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●ちょっとキャラが濃すぎて忘れてた…。

家に帰ると従兄弟が死んだフリを…


平和島優は全力疾走していた。

とにかく早く帰らねばと、暑い中を走っていた。


(……アカッ、早よっ…)


とある天敵と戦いながら。




●#7●




その日帰宅した静雄は玄関を開けた瞬間。
誰しも非常に体験したくない『心臓が凍る』と言う事態に見舞われた。

「…………」

声も出ず、ただ目の前の状況が全く理解不能で血の気だけ引きながら立ち尽くした。
数分後、震える手で何とかケータイでとある人物を呼び出すまで、ただ怯えた。
何せソコには優が俯せで死体の如く転がっていたからで…

   家に帰ると妻が死んだフリをして…










「あー…この子爆睡してるだけだよ」

震えた声で静雄に呼び出され、やって来たのは『闇医者』の岸谷新羅と『首なしライダー』セルティ・ストゥルルソンだ。
【静雄の怯えた声】という、馴染みのある者には逆に怖すぎる呼び出しに新羅は一人で行く度胸が持てず、セルティに『一緒に!』と頼んで相当急いでやって来た。
そして玄関で動けない状態の静雄と、転がったままの優に出会した。

   まるで死体発見現場と第一発見者だ。
   火サス過ぎる。

二人とも、とにかく優をこんな玄関に転がしたままはいけないと。
新羅が優をソファに運び、セルティが必死に心のケアをしながら怯える静雄を部屋に入れ座らせて現在だ。



「寝てるだけ…か?」
「うん、言葉の通り『寝てるだけ』。多分玄関に入って俯せで倒れて寝たんじゃないかな?力尽きたっぽい感じで」

ソワソワしっぱなしだった静雄が漸く安心したのか、はぁと大きく息を吐いた。
仰向けにすればしっかり胸は上下に動いているし息もしているのが分かる。
明らかに心配し過ぎな静雄が新羅やセルティには新鮮だ。

「まぁね?確かに玄関開けていきなり人が倒れてたら誰でも吃驚するけどさぁ…『死んでる』は行き過ぎでしょ…」
「マジで死んでるかと思った…良かった…」
「聞いてよ話。まぁ取り敢えず汗が凄いし着替えさせて。静雄は濡れタオルと温めのお湯。身体拭かないと風邪引くから」
「あぁ、分かった」

何とか精神が正常値に戻ったらしく、優の髪を優しく撫でて静雄はタオルを取りに行った。
二人が『コイツ相当入れ込んでいるな…』と思いつつ。

【随分可愛いけど全然兄弟と似てないなぁ?羽島幽平が美人なら、この子は可愛いの部類で女顔だな…ジャ●ーズ顔?】
「どんなに可愛い顔でもセルティに敵う相手なんかこの世に存在しないさ」

そんないつも通りの言葉に照れてベシっ!とセルティに叩かれつつ。
新羅は新羅で、医者として気になる点もいくつかある。

【静雄も相当心が折れ気味だし、代わりに看病してあげたいが…何だか触ったら殺されそうだ】

セルティのPDAを読み、新羅も『やっぱり?』と言う顔をする

「セルティは大丈夫だと思うよ。僕は触った瞬間、確実に生身で大気圏突破を体験出来そうだけど」
【従兄弟だとこんなに顔が似ないもんなんだな…。今何歳なんだろう?中一くらいかな?】
「静雄の証言が正しければ『高校二年生17歳』だって」

数秒空気が止まった。

【それは流石に嘘だろ?】
「いやホント。この可愛らしい外見が相当なコンプレックスらしいよ?」





アレやコレやと話しているうちに静雄が戻ってきて。
セルティは着替えの手伝いはしたが、極力下手に触っているように見えないようにと何故かドキドキしながら手伝うことになり。
新羅は『ジロジロ見んな変態が!』と何故か静雄から叱られる始末。

「あのさー、医者は見ないと分からない訳。触診も必要なの分かる?どんだけ大切なのかは良く分かったから、だからこそちゃんと診察させるべきじゃないの?」

明らかにブチっと何本か神経がキレたのが分かったが、これは仕事だ。

【静雄落ち着け。私がいるから何も下手な事はしないしちゃんと見張る】
「………。分かったよ」

セルティの言葉も酷いが、何とかそれで静雄は収まった。
本当にセルティを連れてきて良かったと心から思いながら、上半身裸の身体を見ていく。

「あぁ、やっぱり肩と腰打ってるね。倒れた時にかな。頭を打って無ければいいけど。あと静雄、今更だけど従兄弟くんの名前は?」
「名前は優だ」
「優くんね。聞きたいんだけどこの子ってヤンチャ?何か明らかに倒れたのとは別の擦り傷とかちょこちょこあるけど」
「いや…?それは知らねぇし、基本的にあんま外も出無ぇから…」
「ふむ、じゃあそれは置いとくか。じゃあもう上着着せていいよ。逆に風邪引くからね」

   新羅の指示で上着を着せて寝かせる静雄。
   これだけをされても、優は一切起きる気配がない。
   どう考えても、医者じゃなくてもおかしいと分かる。


「ねぇ静雄、優くんはよく寝る子?」
「…どういう意味だ?まさか何か変な病気じゃねぇだろうな?!」
「それを確かめたいから聞いてるの!睨むの止めて?!」

まさに『変な病気』を感染させた張本人のように殺意まみれで睨まれた。
胸ぐらを掴まれなくてセーフだ。

「いいから落ち着いて。医者としてちゃんと聞いてるんだ。で?」

新羅の言葉に静雄が何とか感情を押し殺す。

「…確かに、良く寝ちゃあいるけど…」

静雄が帰宅した時に起きている確率は結構低い。

「ふむ。それはどのくらいの頻度で?一回の時間は?目覚めは悪い?夜更かしする?」
「んな一気に聞くな。夜更かしっつっても日によってだ。朝は俺より早ぇし。けど仕事の間は分かんねぇ」
「成る程。『寝る子は育つ』をしっかり守ってるけど結果が出なかった子か。生活リズムが悪い訳じゃ無いんだ」
「多分な?」
「じゃあ後は本人が起きてから聞くしかない。……いつ起きるかなぁ…」
「起こせばいいだろ?」

何言ってんだ?な表示の静雄に新羅が珍しく神妙な顔付きになる。

「だって俯せにぶっ倒れた形でそのまま寝れる子だよ?普通は無い。両手が前に出てなかったし、寝てから倒れたんだ。って言うかまず痛くて起きるじゃん」
「…………」
「それにこの暑い中でもお構い無し。僕達がこんなに煩いのに起きない。静雄が早く発見しなかったら脱水症状や熱中症になってる」
「やっぱり何かの病気か?!」
「一応そういう病気もあるけど違うと思う。って言うか静雄テンパり過ぎだよ。普通の子なんだから僕より来良病院に運ぶのが正解」
「こいつ保険証までは持って来て無ぇよ」
「んー、それは痛いね金銭的に。ま、取り敢えず水分。静雄、スポーツドリンク買ってきて」



正直そわそわと邪魔で仕方ない静雄を外に追い出し、新羅が漸く優を触診する。
『触ったら殺す』と言う医者に対して無茶なオーラが出過ぎていて、今まで運ぶ以外は一切触れなかった。

「静雄のヤツ、明らかに僕に無料診察させる気だな…」

やっとセルティと二人きりになれて落ち着く新羅。
苦々しげに漸く触診を始める。

【いつもの事だろ。静雄の身内だし見逃してやれ】
「全く…静雄から治療費取れたら今頃結構な額になってるよ」
【代わりに静雄にやられた奴から取ってるだろうが。それより新羅、どうだ?】

聴診器を外した新羅は神妙な顔つきだ。

「ん~…熱も無いし、発汗も正常。特に血流の乱れが有るわけでも無し。【突然の爆睡】という持病でも持ってるのかなぁ?」
【巫山戯ると静雄が怒るぞ?】
「いや、巫山戯て無いよ。肩から倒れたから良かったものの、下手に正面や真後ろに倒れて寝てたらそれこそ大怪我の可能性もあるんだから」

聴診器を当てても問題は全く見られない。
触診をしても何かおかしいと思われる部分も見当たらない。
こうして身体に特に異常が無いのが漸く分かった。

【そうなると精神的な何かって事になってくるのか?】
「だとすればとっくの昔に入院してるか自宅療養を申し付けられてるよ。『所構わず勝手に寝ちゃう』ってのは少ないけどちゃんと症例のある立派な障害だから」
【じゃあ何なんだろう?】
「起きるまで待つしか無いって状態」

現段階ではお手上げだとでも言うように新羅が両手を上げる。
これ以上は本当に本人に問診しなければ分からない。

「…ねーセルティ」
【なんだ?】

諦めモードの新羅がセルティに話しかける。
二人とも視線は優だ。

「にしてもさー?静雄も変わったよねー好み」
【あぁ、確か年上好きだったっけ?でもこれだけ可愛い顔をしていれば変わるんじゃないか?きっと性格もいいんだろう】
「そりゃー可愛い顔してるけどねぇ。あーあー、僕にはセルティが居るって死ぬまで言い続けても忘れるんだろうなぁ…」
【だからって言い続けるなよ!?】


なーんて二人がのんびり夫婦な雰囲気に入り始めた頃。


「んっ…?」
「おや起きたね。身体の具合は?」
(しまった!私は何処に隠れたらっ?!)
「ふぁ~…。んー!腹減ったぁ!!あれ?俺ソファまで間に合ってる!凄いやん俺!やれば出来る子やん俺!!」

新羅の言葉は全て流され目覚めた優がガバっ!と元気に起き上がる。
目覚めはとにかく良いようだ。
そして視界に入らないはずがない新羅とセルティに視線が移る。

「あんさん等ぁどちら様?」
「静雄の知り合いの闇医者だよ。岸谷新羅。後ろは運び屋のセルティ」
「おぉ!『闇医者』とかホンマにおるんや!?都伝や凄い!『運び屋』とか魅惑の言葉やん!!二人とも写メってえぇ!?俺地元帰ったら自慢する!!」
「ネットで写メと名前の世界配信は止めてね?僕達失業するから…」
「あー、そっかぁ…。えー、でも証拠無いとなぁ…」

寝起きの良さと元気さは嫌と言うほど分かった。
その上関西人だと思っていなかった新羅とセルティは全く聞き慣れない方言に戸惑う。
今まで随分濃い人種に囲まれて生きてきたが、これはまた出会った事の無い人種だ。
というか、『闇医者』や『運び屋』という怪しい職業相手に何故驚かないのかが不思議で仕方がない。

「えーっと、優くん。君、起き抜けにそのハイテンション大丈夫なの?倒れない?あと君、玄関で力尽きてたから」
「うわ、マジか。え、じゃあ運んで貰たんや。ありがとうございますー」
「いえいえこちらこそ…」
「てか何で医者のセンセ?静兄が呼んでん?」
「そうだよ」
「ほな呼んだ張本人が何で消えてん。つか何で呼んだんや?静兄が怪我とか?…いや、無いか」

とにかく捲し立ててくる優のペースに新羅は完全に飲まれている。
喋る隙間を与えてくれないのだ。
そんな優の視線がフッと壁時計に移る。そして表情が変わる。

「あー…アカン寝過ぎたな…。そかそか。んで静兄ビビってセンセ呼んだんやね?」
「うん、多分君の自己完結で合ってると思うけど。取り敢えず医者として聞いていいかな?君に何が起こったの?てか僕は静雄じゃなくて【君の診察】に来たの」
「いや、眠かったからとしか…」
「あんまり頻繁に睡魔に突然襲われるなら一度脳神経科に行った方がいいよ。危険過ぎる」
「いやー、んー…そない深刻とかや無いんよコレ…病気とかや無いし…」

さて、どうやって説明をしようかと優が考えていたら。
玄関が開いて家主が戻ってきた。

「優っ?!お前起きて大丈夫か!!」
「静兄心配かけたんね。腹減って目ぇ覚めた。あ、ポカリくれ!喉ガラガラや」
「あぁ、静雄。彼のこの驚きの無さは一体何?」
【私を見ても何にもツッコまれないんだけど…】

四人が全員方向性バラバラな発言が飛び交う中。
とにかく寝起きとは思えない全く元気な優に静雄が抱き着く。

「うおっ?!どしたっ!!!!」
「良かった…生きてた…」
「いや、勝手に殺さんとって?なーポカリぃ…腹減ったぁ…」

噛み合わない会話に新羅が取りあえず助け舟を出す。

「静雄、やるべき事からやろうね?まず離れてポカリを与えて食事。同時進行で僕は問診するから」
「あ、あぁ…。飲めるか?」
「むしろくれ。ごっつ喉乾てん」

キャップを捻りポカリを渡すと、優が一気に飲み干した。

「っはぁ!!あー、胃が空っぽや…サイアク脳ミソ回らん…」
「えっと…次は?」
「飯!冷蔵庫ん中に作ったるから。俺元気やし大丈夫やから飯!!夜寝れん。あ、センセらも食べてく?」
「いや…僕は隣の大切なパートナーが作ってくれるから…」

チラッと新羅がセルティに視線を送る。
それと同時に優の表情が一気に輝く。

「えーなにセンセ達同棲中なん?!うわー、運び屋さんてクールやけど実は家庭的!?そんなんごっつ幸せやん!!お姉さんやっぱ胃袋ロック!?」
【い、胃袋ロックって何!?】
「おぉ、寡黙キャラを通すんやねお姉さん!『運び屋の真実の姿は恋人にしか見せない』的な!?わー、何やドラマみたいや。てか暑ない?大丈夫?」
【あ、あぁ、大丈夫だよ…】

何かとマシンガンのように質問責めをする優にそろそろ限界が近い。
興味があるものには何でもかんでも子供のように聞いてくる。

「ねーしずおー、この子何でこんなに元気なの?あとセルティが困るくらい良く喋るんだけど…」
「あ?おい優、セルティ困らせんな。つかこの冷やし中華か?」
「せやせや!てかお姉さん外人さんやってんなぁ…夢膨らむわぁ…。セルティはん、センセと幸せにね?その内ドレスな?女の子の夢やもんね!!!」

全く邪気も無く優の嬉しそうな言葉。
初対面なのに何も警戒心も無くストレートな優の言葉に、何だか恥ずかしいながらも嬉しいのも事実だ。

【…ありがとう】
「センセもちゃんと幸せにせなアカンで!?男は甲斐性や!!」
「当たり前。僕は誰よりもセルティを愛してるんだよ。それより何で君は僕達に全然吃驚しないの?裏の仕事してるんだよ?」
「え?生活するために得意分野で働くなら職業関係無いやん。てか静兄の友達ならえぇ人ちゃうのん?」
「静雄、この従兄弟君はどれだけ世間知らずなの…」

呆れる様な新羅の言葉が静雄の心に影を落とす。
優は、世間知らずなんかじゃない。

「……。新羅、なんか病気の心配は?」


   本当は誰よりも世間を良く知っている。
   どう言う態度、相手にどう合わせれば、何をどうすれば上手く行くか。
   嫌というほど知っているのは、優だ。
   本気になれば『世渡りの演技』なんて自分や幽も、それこそ誰にも見破れない。


「これだけ元気ならまず無いね。あるとしたら『ガンガントークが止まらない病』じゃない?」
「せやから病気やないて!頭使いすぎただけやから飯をくれ!!」

そう言うとぐぅっ~と優のお腹が鳴った。

「どんだけ空いてんだよ。ほれそろそろ黙って飯食え」
「よっしゃ頂きます!!」

これは一体本当にどうなっているのか。
全く驚かれないしセルティとの仲を推奨してくれたのは嬉しいが、どう考えても変わり者だ。


【新羅、ちゃんと問診してやらないと】
「え?あ、そうだった。この子倒れてたんだっけ」
【おい大丈夫か?】
「ちょっとキャラが濃すぎて忘れてた…。と、言っても何を聞けばいいやらって感じだけど…」
【しっかりしろ。何のために飛ばしてきたんだ】

   新羅が気を取り直して頭の中を纏める。
   玄関で寝てから倒れ、そのまま寝続けていたのだ。
   しかも着替えさせたり大声を出したりしても全く起きる気配も無かった。

考えていたら、ふとある物が新羅の視線に入った。

「…この論文の束って間違っても静雄のじゃないよね?」
「あー、それ俺のー」
「ちょっと中身読ませてもらっていいかな?」
「大切にー」

部屋の一部は優にスペースを占領されているようで、様々な本やら何やらが置いてある。
その中で気になったのがこの論文達だ。

【どうしたんだ新羅?】
「多分これで分かる…」

かなりの量の論文達が綺麗に分野別に分かれて置いてある。
勿論畑違いの物なら新羅も中を見ても意味など分からない。
だが、それが逆にある一つの可能性に繋がった。


「……。ホントにいるんだ、こういう子って…」
【新羅?】


見聞きしたことはあっても、医師の中ではそれこそ【都市伝説】のような存在だ。
まさか出会うとは。
論文を置いて新羅が久しぶりに本気で驚いた。



「……静雄、この欠食児童くん、実は見た目より結構食べるよね?」
「えっ?あぁ…。まぁ食べるけど一番食べ盛りだろ?」
「優くん、1日何食?」
「んー、日によってー…多いときは6とか余裕」
「はっ?!お前そんなに食ってたのかよ!!」
「うん。腹減るし」

静雄は仕事に行っているので全く知らなかった。
1日中家にいる時もあるのに、一体どうしてそんなに食べられるのか。
確かに冷蔵庫の中身の買い溜め量と激減具合が気にはなっていたが、その答えが優の胃の中とは考えたこともなかった。

「けどお前、腹ペッタンコじゃねーか…つかむしろ細いし。実は大食いファイターだったのか?」
「んーん。一回は人並みしか入らん。その時々―」

嬉しそうにお手製冷やし中華を食べていく優。
決して早食いでも何でもない。至って普通だ。
だからこそ、意味が分からない。


「静雄、優くんってもんの凄く頭良いでしょ」
「まぁ良いけど…物凄くって何処までの話だ?」
「『天才』って事。僕なんか遥かに及ばない。って言うかこの論文も著名なものから色々あるけど僕にはサッパリ」
【お前でも分からないのか?】
「僕はあくまで『医学』に対してなら強いけどね。『物理工学』に『原子工学』。その他『医学療法』や『バイオテクノロジー』諸々。とにかく色々ありすぎ」
「はぁ?こいつ高校生だぜ?」
「関係無いよ。さっき論文の中身チラ見したけど凄い。分野バラバラだけど内容は全部トップクラスだ。日本語じゃないのまである」

あちこちの学校から戻る度に週刊漫画雑誌の三倍ほどの厚さの論文を貰ってくる優。
静雄が一度邪魔臭いと思って捨てようとしたら物凄く怒った紙束達だ。
それを新羅が苦笑しながらポンポンと叩く。

「価値の無い人にとってはただの紙だけど、これって凄い物ばかりなんだよ。まぁ世の中99.9%の人間にとって価値は無いけど優くんにはある」
「意味分かる説明しろよ…」
「『これを読めて理解出来てたら凄いよ』って意味。アメリカだったら飛び級してとっくに大学院も出てるだろうね」
「……。優、箸ストップ。分かるように説明」
「あぁ止めないであげて。彼今一生懸命だから」
「はぁ?まさか飯食う事にか?」

訝しげな表情の静雄に新羅が真面目に答える。

「そう。『頭使いすぎ』って彼さっき言ったよね?脳を使うと結構カロリー消費が凄いんだよ。『勉強したら眠くなる』の原理と一緒。受験生ってお腹も空くじゃん?そんな感じ」
「……。玄関でぶっ倒れる程はおかしく無ぇか?」
「だから、『玄関で力尽きてぶっ倒れる程眠くなる』くらい脳みそ全力で使ってるの。一体何を考えてるのか凡人には理解不能な領域。だから人一倍眠くもなればお腹も空く」

分かったかな?と、新羅が静雄の顔を見るが、あまり分かってはいそうに無い。
だが新羅もこれ以上噛み砕いた説明方法が浮かばない。


   「だってこいつアホだぜ?」
   「うん、僕の説明は何も耳に残らなかったみたいだね。優くんそろそろ落ち着いた?」


見れば食べ終わり、ふぅと満足顔な優。
隣の静雄に持たれて今にも寝そうだ。

「落ち着いたぁ…やっと頭回ってきた気がする。センセもそない俺のハードル上げんとってや。論文かて面白そうなんしか貰ろてへんよ」
「ごめんね、僕にはこれ以上適切な言葉が思い付かないんだ。IQいくつなの?学校で測ったでしょ」
「んー?測ったやろけどあんなん生徒には教えてくれんよー?俺アホでえぇもん」
「ふむ、まぁ僕としては180超えてるくらいの超天才児だと思うけど?羨ましいね」
「そないアインシュタイン超えしとったら今頃俺は日本におらんて。つか羨ましいとか何処がよ。周りが勝手に騒いでうっといだけやん。それ以上言わんとって」

優の表情が露骨に嫌そうな顔になる。
どうやら【頭が良い】や【天才】と呼ばれる事が相当嫌なのだなと新羅は判断した。
その言葉に伴った色々な面倒な事もしっかり理解しているのだろう。

「ゴメン、言葉の配慮が足りなかったね。で、静雄が納得してないんだけどどうする?」
「んーと、静兄、今日のことは夢幻や。忘れて?」

  「いや無理…」
  「自分、頑固やな?」


「テメェ俺がどんだけビビったと思ってんだよ!!??」
「にゃー!!!!!いひゃいー!!!ごめんらはーいー!!!」

ムニーっ!と静雄が優の頬を引っ張る。

【静雄がちゃんと手加減してる…】
「って言うか、アレは心配と言うよりイチャついて見えるのは僕の目の錯覚かな?」
【イチャついてというより、じゃれてる感じがする。犬が二匹】
「あー、何かそっちの方が正解かも」



「ったく!取り敢えず何で玄関で倒れてたんだよ!!そっからだ!!!」

頬を離して静雄が優に尋ねる。
だが優も説明しようが無い。新羅の説明で大方合っている。

「えーっと…取り敢えず玄関で寝てまったのは謝る。ビックリさせたんはゴメンなさい。けど俺倒れたんちゃうかって寝てただけやから」
「…………」
「なんかな?まぁしょーもない事を色々考えながら歩いとって。ほんで『あー寝るわー』思てボッケーしとったら絡まれてん」
「はっ?!」
「普通に帰れたらソファまで十分間に合うタイムやったけど予想外。ほんで相手して走ってリミットが玄関やった」
「お前誰にっ!?」
「めっちゃ眠かったから全っ然覚えとらん…なんや俺、知らん間に『静兄の何か』てえらい顔と名前が割れてん。せやから外もよぉ出ん」
「最初から殆んど出て無ぇのにか?!」
「うんー。出たらこうなると思て出んかってんけど意味無かった。顔も全然似てへんのに何でやろー?て」

まだ若干満腹感でぼんやり不思議そうな顔をしながら喋る優。
だが明らかに犯人が誰か分かってしまった静雄と新羅とセルティ。

  一人しか、いない。


「ナルホド、じゃあ肩の打ち身以外の擦り傷とかは多分その喧嘩のせいだね。今までどのくらい相手にしてきたの?」
「んー、数えんの面倒なって分からん。俺なんか脅してもどーしたいんかなぁ?ていつも思うし」
「そりゃあやっぱり、静雄を呼び出すためじゃないかな?」
「んでも結局静兄のが強いから意味分からんのよ。俺にも負けとるくらいやし。自殺擁護も確か犯罪やろ?んなけったいな事よぉせんわ」
「……。優、今度からは律儀に呼び出せ。しっかり殺してやる」

殺意を纏った静雄に優がため息をつく。

「で、静兄こーなるから黙っててん。自分で身は守れますー。あ、センセ湿布無い?」
「あるよ?」
「この家救急箱らしき物が無いから。数日分出してー。寝たとき腰骨かなり強打したっぽい」

ぺローンと優が服をまくれば、確かに倒れた側の腰骨部分もしっかりアザが出来ていた。
アザが出来るほどの強打をしながらも睡魔に負けたのだから相当なのだろう。

「…その痣も含めてぶっ殺してくる…」
「犯人、『熊谷』やろ?ノシた相手から聞き出した。ホンマあいつチョケた事しよんな?やり方こすっからいわぁ」
「あんまり方言で言われても分かんねぇけど取りあえずお前も気に食わねぇんだろ?ぶち殺してやる!!」
「アカンアカン、殺人は。それに情報が広まってからじゃ何しても無駄や」
「あのー…ごめんね話の腰を折るけど、『熊谷』って誰?犯人は臨也でしょ?」
「あぁ、優の頭の中じゃ蚤虫は名前じゃなくて何故か『一人熊谷』って入ってる。本名言っても記憶が合致合わないみてーでな」
「本名も覚えましたー!!あれやろ?あのー…ほらっ!おっ…オリハ、ラ…?……で、三文字の名前!!ほらここまで覚えたで!?」

どうだ!!と言わんばかりだが。
何故あと残り三文字が記憶に入らないのか、ソッチの方が不思議だ。


「まぁ優くん、その眠気は大体自分でコントロール効くんだよね?」
「ん。長い付き合いやし、外でいきなり倒れたりはせんようには」
「なら大丈夫だね。静雄、僕はこれで失礼するよ。これは優くんが自分で何とかしなきゃいけない事だし、今日はたまたま邪魔が入っただけみたいだから」
「薬とかは無ぇのかよ?」
「だーから、これは優くんの脳がどれだけ使われたかによって全く変わってくるから。本人がコントロールするしかないの。他人がどうにか出来る問題じゃない訳」
「センセもセルティさんもなんやすんませんでしたー。俺もうちょい気ぃつけるー」
「是非ともね。今は脱水症状とか熱中症も十分ありえるから。てか君、なりかけてたから」

バチンと鞄を閉じて新羅とセルティが立ち上がる。

「じゃあ…『お大事に』って言うのは何か違う気がするけど…」
「ほな…『またね』は?」
「そうだね。じゃあまたね」
【あまり静雄を吃驚させたりするなよ?あと絡まれて怖かったらちゃんと警察に行く事。じゃあ、またね】
「はーい。まーたねー!!」

ニコニコと笑顔で見送られ、二人は静雄宅から帰っていった。



【不思議な子もいるもんなんだなぁ?あんな呑気な子だと静雄も大変だろ】
「まぁフラグも超微妙だしね…。どう転ぶか全然分かんない。あとあの子、別に呑気じゃないよ?」
【そうか?なんだかフワフワした感じだったけど。話も飛びまくるし…】
「多分良く喋るのは元からだろうけど、起き抜けで頭が整理されて無かったんだよ。あの子ぶっちゃけ材料揃えば一人で楽しく核爆弾作れちゃうと思うし」
【核爆弾っ!?】
「うん。『レッド・マジック』って言う旧ソの核の論文があった。原子に物理の両方やってれば出来ちゃうと思う。ま、常識もしっかりしてるし、興味を持たなければだけど」
【…本当に頭が良いんだな…】
「さて…静雄は奥手だしどうなる事やら」
【でも…何か可愛かった二人とも】
「はっ?!【静雄込み】で!?セルティ大丈夫!?」
【さっきも言ったけど犬が二匹って感じで。と言うか、静雄が犬で優くんにじゃれてる感じがした】
「………。僕の頭に今、恐ろしい光景が広がったよ…」
【どうせ獣姦だろ変態が!!】

と、闇医者と運び屋カップルにそんな事を思われてると微塵も思っていない平和島の二人は。

「あっ!二人の写メ撮り忘れた!!」
「『またね』っつったんだからそのうちまた会える。つーか風呂入るぞ」
「ちょっ!何で担ぐん!?俺流石に一人で出来るもんなお年頃やで!?」
「またいきなり寝られて溺死されたら怖えだろーが。それに肩も上手く上がんねぇだろうし洗ってやる」
「エッチぃ事せんとってや!?どエロで鬼畜なんは知ってんやからな!!」
「ふーん…そこまで自分の身体に魅力があると自信があんのか?つーか知ってんならそのご要望に答えてやろうか」
「……。無いですスンマセン泣きたいほどぺらっぺらです…」

(相手は怪我人。怪我人。我慢は出来る。きっと出来る。俺は大人。自制心!!俺だって我慢は出来るもん!よし!!)
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プロフィール

寅丸

Author:寅丸
アニメが終わってからデュラの存在を知った可哀想な感じの人。原作しか知りません…orz。きっと静雄と派生が好きだと思う。ケロロは電波黄色と喧しい。10年目でいきなりハマった。なので【今更】。ピクシブ  呟き

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