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イマサラ

腐向け/R15/DRRR!!・K66・TIGER&BUNNY中心/いろんな妄想ダダ漏れな欲望全開。

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●元々俺狙いやし俺が片す。

平和島家の名前の法則。


平和島家の子供の名前には、ある意味『法則性』がある。
ある一線を越えると【名前の漢字と性格が真逆】になる。

  【静雄】は静寂を愛するが、攻撃的で凶暴性が強く。
  【幽】は感情を全く出さないが、スポットライトと脚光を浴びる。


勿論それは【優】も例外では無い。




●#5●




「あー、掛かったかアホが。…うん、俺出校日行かんし……、それ直ぐ俺のPC送ってや。炙るわ。…あぁ、張っとって正解やわホンマに。ほな」

ケータイを切って、ふぅ、と溜息を付く優。
そして珍しく『少し寂しそう』な表情で自前のノーパソを開く。

「…どうしたんだ?」

今日は昼出勤なのでまだ家にいる静雄。プリンを片手にソファに座る。
ほぼ八割は笑っているか、一割は露骨に嫌な顔か怒るか。残りは寝ているか。
とにかく感情と表情がハッキリとリンクしている優だ。『微妙な表情』と言うのは本当に珍しい。
そしてこういう時の優は、あまり下手に刺激をしてはいけない。

「あー、静兄聞いたってやもぉ。俺んトコ、夏休みに学園祭の準備するんやけどな?」
「まーた懐かしい単語だなぁ。んで?」
「んでな?テキ屋とか出し物とか学年縦割にして準備すんねやけど、何や嫌がらせしてくるヤツおんねん。さっきのは俺らの組んでたテキ屋壊された報告」
「はぁ?んな事して誰か特すんのかよ?」
「だーれもせぇへん。けど俺がちょおアホ一匹に目ぇ付けられとって。せやから……あー、来た来た。静兄も見る?」

優が添付ファイルから引っ張り出した映像を静雄にも見えるように画面を寄せる。
暗視カメラの映像には確かに数人映っており、組み立ててあるテントのような物を壊していた。

「うーわー…」
「マジどん引きやろ?絶対やられる思て監視しとったらヒットしてまった。俺、して欲し無かった…」
「首謀者は優に目ぇ付けてるヤツか?」
「しかおらん。アレや、成績の事でイチャモン付けられとる。アホの俺が一番取るんが気に食わんのが一人」
「んなもん優のせいじゃねぇだろ?ただの嫉妬じゃねぇか」
「せやけどソイツかて勉強頑張っとんよ。なんに俺みたいなアホに一番取られて悔しい気持ちも分かるんよぉ…」

優は極端にお人好しと言える。
得意技は相手の良い所を見つけ出す事だ。余程の相手からでもそれを引き出す。
いつでもどうやって周りを楽しませるかを考えるパフォーマー基質だ。

「けどお前が同情しても嫌がらせされたら意味無ぇだろ?つーかそう言うヤツってプライド高ぇし逆効果じゃねぇのか?」
「うん…俺だけならえぇけど周りのダチとか学校中とかまで変な噂とか何や陰湿に色々仕掛けてくるから正直あんま好かん…」
「最悪だな…お前、ちゃんとやり返してっか?」
「いや、構ったら嫌がらせも酷なる思てほっとっとる。先生達も学校の皆も分かっとるし。俺、先生に『大変やな?』て労って貰っとる状態やわ」

そう言いながら優が静雄に「ちょっと静かに」と口に人差し指を立てる。
そしてケータイで誰かを呼び出した。

「…おはよう、俺。今ビデオ見た。コレ、誰も怪我しとらんよね?…ちゃう、アッチもや。……ん、良かった。まだ学校側には黙っとってくれる?」

優の言葉に電話の向こうが騒がしくなったが。

「えぇから。皆が出てっても最終的にどうせ『俺』に巡って来る。元々俺狙いやし俺で片す……ごめん、頼むわ。纏めとってな?皆に堪忍て言うとって?」


  そうして優はケータイを切った。


「はぁ…何でこんなんするんやろ…。嫌がらせて、面白いんかなぁ…?」
「面白れぇヤツにはな。…今のも学校のか?」

静雄の頭に浮かぶのは、高校時代から今も嫌がらせを継続させてくる折原臨也。

「うん。三年で今年の俺らのグループ纏めてくれとる先輩。あの人に頼んどけば取り敢えず喧嘩にはならん。俺喧嘩嫌いや」
「三年生にタメ口かよ…すげーなお前」
「まぁ色々。盛り上げて【女子沢山集めたい】っちゅー目的は皆一緒や。それを下らん一匹のせいでギスギスしたないやん?」

カタカタと優はPCに向かいながら映像の画像処理や何やら色々している。
暗くてしっかりは見えなかったが、暫くするとかなり鮮明になってきた。
そこに優があるソフトを起動させた。

「これは?」
「個人識別ソフト。ちょお絵が荒いけどまぁ大丈夫やろ。全生徒のデータ入っとるし直ぐ誰か結果出るわ」



もー、かったるー…と、言いながら優がPCの放置に入った。
今日の優のスケジュールは何故か忙しい。
この後、例の【羽島幽平の女子大生とお騒がせ事件】の誤解が取れずに、事務所に連れて行かれるからだ。
本来なら常々話してみたかったと言う学校の先生の所に行き、じっくり対談が出来ると楽しみにしていたのに。
時間の割り振りが全く上手く出来ていない。

「あ、静兄。今日俺何時になるか分からん。夜回ると思うし夕飯どうしよう…」
「まぁお前次第じゃね?上手く時間が合ったら馴染みの寿司屋連れてってやるよ」
「うわー、それだけが楽しみや…何で今日だけに集中して忙しいねんもぉ…」

基本的に楽しい事しか受け付けない性格で、こう言う事が一番嫌いなのは静雄も良く知っている。
いつでも前向きで、相当な苦境でも上手く立ちまわる事が出来る優だ。
それをココまで追い込むのだから、相手もかなりの長期戦で挑んできているのだろう。



「優、あんまり考え込むなよ?」

寂しそうな優を後ろから抱きしめる。
誰にでもボディーランゲージの激しい人間なので、撫でるよりコッチの方が何倍も効果がある。
確かに寂しそうな優は見ていてこっちも寂しいが、それとは全く逆の心配もある。
【平和島優】という人間は、この『少し寂しそう』な状態が何よりも一番危ない。

「ん、分かっとる。【今】はまだ我慢出来るから…」
「なら良いけど…心配になるだろ」
「ごめんなぁ、心配何かさせてもうて…俺ちょっと泣きそうやわ」


その【今】が続けばいいのだが…。




◆◇◆




「オイオイ、今時ダセー苛めかソレ?」

時間になり優は幽の車で拉致られ、静雄も仕事に来てトムに優の事を話していた。

「まぁ多分大っぴらな苛めって訳じゃねぇと思うんスけど…なんつーかずっとシケた感じで…」
「いや、話を聞く限り立派な嫌がらせだろ。まぁ優くんあの性格だし目立つだろうけどよぉ…」
「話によれば相手はガリ勉らしいスよ。優のが頭良いから妬んでるみたいな」
「えっ、優くんって頭良かったのか?」
「全国トップレベルで良っスよ?性格がアホ過ぎなんで誰も気付かねぇけど」

驚愕事実だ。何もしていないのに眼鏡のブリッジがズレた。
あの性格からはどう考えても無理がある。まさに【人は見かけによらない】。

「んー、頭良くて性格面白くて見た目がアレか…。まぁ、妬みも出らーなぁ…。静雄、しっかり苛めに負けないように支えてやれよ?」
「いや…それはいらないっつーか…」
「ん?愚痴でもなんでも聞いてやれよ。あと簡単な護身術とか。小せぇし細いしで喧嘩弱いだろ。こっちから話聞いてやんねーと」


   トムの言葉に静雄の表情は困っている。
   だが前を歩くトムはそれに気付かない。


「…そッスかねぇ…」
「そーそー。それが大人の優しさだ。あ、今晩『露西亜寿司』だよな?俺も人生の先輩として話聞いてアドバイスしねぇとな」

果たしてそれは優に必要のある事なのかどうなのか。
それより【今の優の状態】が大丈夫か心配だ。





◆◇◆





『ジャックランタン・ジャパン』

幽の所属するこの事務所に優は連れてこられ、現在社長であるマックスと擬似的に仕切られた会議室モドキで対面している。
完全に仕切られている訳ではない社内なので、事務員や社員達はずっと優に興味津々だ。
服装も含めて『確かに女に間違えられてもおかしくない』と誰もが思っていた。
無理やり頑張って男装している可愛い女の子、と言ったところだ。

「…幽兄、このルー語の達人なんやの…」
「一応社長だから、我慢して」

相も変わらぬハリウッド映画の悪役的な格好に、アメリカ人なのに英語が怪しいマックス社長の捲し立てる言葉に優は辟易していた。
いつもの優なら【おもろい人間判定!】が入り、ツッコミを入れたり一緒に騒いだりするのだが、今日の優にはそんな事をする気配が一切無い。
幽も車に乗せた時点で優の状態が相当悪い事は静雄と同じく察している。静雄からそれについて密かにメールも貰っている。
今の優は危ない。だからこそ本当は日にちを変えたかったが、この強引な社長相手にはそうも上手く行かず現在に至る。


「社長、ちゃんと連れてきました。彼が男で私の従兄弟だと認識してくれましたか?」
「全く入ってきた時は本当に幽平の『ボーイッシュなキュートでラブリーガールフレンド』かと思ったし今でも俺にはそう見えて仕方がないね!!我社のドル箱『羽島幽平』にまさかのスキャンダルだなんて実に面白い事だよ!!しかもこんな夏の真っ只中にアバンチュールだなんてやってくれるじゃないか!!」
「幽兄の言葉、全部右から左にキレーに流されとるやん…」

大声で全く関係無い事を言い続ける社長に淡々と幽が返事をする。優もちゃんと学生証を見せている。
静雄がいれば、幽が相当焦って話をさっさと終わらせようとしている事が分かっただろう。
事務所に入った時も、入ってからも、お茶を運んでくれた事務員達も、一緒に部屋にいる秘書も、皆が優に『可愛らしい子』という視線を向ける。


「社長、聞いてください。そして現実を見てください」


いつもの優なら『ほな折角やしプロに頼んで女装でもしましょか~?記念に羽島幽平と!』位は、笑いながらノってくるだろうが、今日の優は絶対に無い。
だからこそ焦っているのだ。正直逃げたい。そんな様子に優がクイっと幽の服を掴む。

「幽兄、そない焦らんでも【今】は大丈夫やから。俺、約束の時間までに向こうに着けたらえぇし。必死過ぎやて」
「ごめん…今日に限って」
「謝る事無いよ。今日に限って俺が勝手にこうなってんもうてんから。幽兄何も悪無いよ」

軽く笑いながらの優の言葉に秘書も社長も驚く。
一体いつ、この鉄仮面が焦りの表情や声を出したのか。さっぱり分からない。

「全く何ということだ!!君は幽平の日常での感情が分かるのかい?!なんてこった凄いぞコレは!!と言うか、俺には依然プリティガールに見えるし、いっその事ウチの事務所で女装でもしてデビューでもしてみないか?!それに幽平の日常会話通訳係としても雇おう!これはとても助かる!!!全くお前は兄さんといい従兄弟といい、本当にどうしたらそんなに売れそうな見た目の人材ばかり揃っているんだ!?まさにミラクルな家系としか思えないよ!そう!イッツミラクルだ!!ドル箱家系なんてそうそう無いぞ!?いっそ三人とも『羽島』としてウチでデビューをしよう!!うん、それがいい!!」


フッと頭に『シズオです・ユウヘイです・スグルです。三人揃って羽島(ry)★』なんて、何処かのパクリを想像してしまった幽。
どうしようもなく下らない事が浮かんでしまった。自分が全く冷静になれていないのが良く分かる。
それに延々とこの社長は優の地雷を踏みつけっぱなしだし、時間も限られている。
さっきから話は全く進まないし戻りもしないし、関係の無い道を爆走し続けている。


『…社長はん、英語通じます?』
「Oh!?何だ君は英語が出来るのかい?!ファンタスティック!!勿論出来るさ母国語だからな!!」
『ほしたら俺の会話も通じますよね?』
「Right!」
『自分の【ドル箱】の考えとる事も分からんくせによぉ社長なんぞやっとるな?それとも【売り物】の気持ちなんか関係無いか?何が日常会話通訳や。幽兄に謝れ』

  優の言葉にマックスの言葉が止まった。

幽は何を言ったのかは分からないが怒気が混じっていたのは分かる。
どうやら優が酷く悪い方向に進んだ事だけは空気で伝わった。

「どうしたの優?」
「いやー、これで通じひんかったらこの人何語で話しても会話が成り立たんなーて。英語のが多少会話進むっぽい」

何も無かったように軽口を言う優。だが表情は朝、静雄に見せていたような『少し寂しそう』だ。
この時だけは【危険物取り扱い一級所持者】の中のベテランと言えどもでも危ないほど危険だ。
平和島兄弟にとって、この状態の優が一番怖い。しかも危ないというのは【万人向け】なので堪ったものではないのだ。

「……あ、ごめん幽兄。ちょお席外してえぇ?ケータイ」
「いいよ。俺が何とか終わらせるように努力してみる」

そう言いながらケータイメールを確認して会議室から出て行こうとする優。

「おっとどうしたんだ従兄弟くん!?まだ話は終わってないぞ!!」
『俺は元から無いわ。社長はん、俺も色々忙しいしまだ高校生や。別に学校辞める気ぃ無いし『女装してデビュー』とか意味分からん事言うてんと幽兄をしっかり立てろ』
『俺の話よりも大事な事なんてこの世に?!君は今芸能界という華の世界に誘われているんだぞ!?』
『はぁ?ほざけ。自由意志やろが巫山戯んとって。それに俺の実家関西や。遠いし上京する気無い』
「社長、優の邪魔をしない下さい。彼は一般人です」
「何を言う!!英語もペラペラで関西弁だなんてこんな逸材を離せないだろう!!絶対に売れる!!」
『【英語出来る関西人】なんか関西行けばゴロゴロおるし、九州にも沖縄にも北海道にも日本中に何処でもおるわ…。ナメとんか地方県民を」
「そうだ幽平!お前とセットで執事シリーズの弟役とかどうだ?!なかなかのキャスティングだし誰も文句は言わせないぞ俺は!!」
「ゴメンな幽兄、直ぐ終わると思うから」

こうしてあまり良くない言葉使いは英語でくるんで、喧しい会議室から出た優。
『少し寂しい』から、直ぐにいつも通りの人懐っこい表情を作る。
優の得意で、そして大嫌いな【愛想笑い】だ。


「ちょっとすんません、この辺でケータイ使こてええ場所あります?」
「えぇ、こっちの休憩室なら大丈夫よ。…ごめんなさいね、ウチの社長あんなので…」
「いいえ、パワフルな方ですし幽兄もお世話になってます。それに皆さんのおかげこない有名な俳優になれてん。不器用ですけど、これからも皆さんの力でしっかり支えたって下さい」

しっかりしている優の対応に、事務所のお姉さんもお兄さんも『可愛いし、いい子だなー』と、心が暖まる。
それと同時に【鉄仮面な幽の従兄弟】という事実が信じられない。どうやって幽の感情を読み取っているのかご教授願いたいくらいだ。
太陽の光が入る休憩室には誰もおらず、優は自然と表情が『少し寂しい』になる。

「…俺やお疲れ。さっきのメール、ホンマか?」
【……!!…!!!】
「そない怒ったらアカン。俺のセキュリティが甘かってん、ゴメンな?変な噂も俺だけやったらえぇ。気にせん。頼むから騒がんとって……あんま俺を苛めでや」
【―!-…!?】
「大丈夫やから。落とすなら一気にやる……うん、皆ゴメンな?俺のせいやんな…俺が今年このチームにおるから…」

ふぅ、と一つ優が溜息をつく。


「え?俺が昼行灯とか無いわぁ…似合わん言葉やて…」







笑顔のままで優は会議室に戻ってきた。

「幽兄、俺もう約束の時間迫ってん。こっからどんだけ時間かかるか分からんし、そろそろ送ってくれん?どうせ終わり無き不毛で無駄な会話やろ」
「分かった。先に車に行ってて」

車のキーをポイっと優に投げる幽。

「何だい君は失礼だね!!終わりを見つけて折り合いをつけるのが大人の会話というものだろう!?そう、君の芸名は名前のままで呼び方を変えよう!『ゆう』の方がずっと親しみやすい!!」
「ほなここらで『折り合い』つけて終りにしましょう?幽兄直ぐ頼むなぁ。皆さんお邪魔様でした」
「むぅ!中々上手いことを言うじゃないか君!!ますます気に入ったぞ!!」
「それは気に入ってくださって光栄です。次に会うときはもっと聞き耳を持っている方だと嬉しいですが」

とびきりの【愛想笑い】で優は荷物を持って出て行った。

「絶対にあの子はウチに入れるぞ!俺は決めた!!あの見た目とキャラクターを生かさない手は無い!!幽平何とか話をつけるんだ!!」
「無理だと思います。では私も失礼します。あと…」
「何だ?」
「彼を『ゆう』と、二度と呼ばないでください。彼は『すぐる』です」

  優に対してこの呼び方だけは許さない。そう思いながら。

こうして幽も事務所を後にした。
マックス社長のテンションが下がらないまま。









「優…ごめんね。大丈夫?」

事務所内が大騒ぎになっている中、さっさと車を出して幽は隣に座っている優に問う。

「幽兄の事務所の社長はんやししゃーないわ。凄いなあの喧しさ。俺初めて喋りで負けたか思たわ。あそこまで会話が成立せん人もそうそうおらんやろ」
「うん、俺もアレ以上はまだ出会ったこと無い。電話、なにか揉め事?」
「ちょっと学校。俺が『甘ちゃん』とか『昼行灯』って、皆に叱られてもうたわ。そないなつもり無いんやけどね」

『少し寂しい』表情の優。
一体誰が優を【甘ちゃん】だなんて思ったのだろうか。幽には分からない。

「俺はただ楽しく学校生活過ごしたいだけやねんけどねぇ…。アホみたいにダチと騒いで遊んでいっぱい思い出作って。今しか出来ひん。社会人には無理や。貴重やねんこの時間」
「…………」
「みーんなそうやと思う。けどそんな時間をわざわざ苛めとか嫌がらせに費やすなんてアホらしいと思わん?沢山遊べるん、今だけやん」
「…優は、どうするつもりなの?」
「まだ俺の許容範囲内やから何もせん。みんなにも我慢して貰ろてる…ホンマ謝らなアカンねやけどね。皆に嫌な気持ちにさせてまって…」

優は名前の通り『平和主義で優しい』。
自分への嫌がらせも身内や仲間に被害がなければ何も言わない。
ただ、やはり平和島家の人間だ。一線を超えたらどうなるか。
静雄も今頃相当心配しているだろうと幽が思う。









「付いたよ。ここから先は車止めれないから」
「ん、ありがとうね。社長はんにも嫌味言うてまったから…怒っとったら言うて?ちゃんと謝り行くから」
「気にするような人間に見えた?それより優、こっち向いて」
「ん?」

  頭を抱えて。
  人目があるので、少し唇に触れるだけの軽いキス。

「なんっ?!」
「他の事考えたほうが良いと思って。これから楽しい先生との対談なんでしょ?」
「車チューはアカンてもぉ…もー、アンタら兄弟何なん?人を慰めるときはチューなんか?オープン過ぎやって二人とも…」

優の表情が苦笑に変わる。

「俺知らんで?また雑誌に『羽島幽平!ドキドキ車チューデート!?』とか載ったら…。俺こないだのミ●ネ屋と妙ちゃんからの攻撃で血反吐吐いた…」
「なら今度泊まりに来てよ」
「何で?いっちゃんアカンくない?」
「張ってるマスコミ達に実際【優は男で夏休みに上京して来た従兄弟です】って分からせた方が早い。直ぐ騒がなくなる」
「あぁ、そう言うもんか。ま、取り敢えず行ってくるな?なんや東京来てから足に使ってばっかでゴメン」
「いいよ。俺の中で優はV.I.Pだから」
「そらまたえらい待遇の良さで。ほなねー。幽兄も今日の撮影頑張ってや!!」


少しだけ元気を取り戻したのか、いつものような笑顔で優は車を降りて歩いて行った。




◆◇◆





「もしもし兄さん、俺だけど…今優を学校に送ってきた」
『あぁ、幽お疲れ。大丈夫だったかアイツ?』
「事務所の中で90%超えした感じ。俺正直怖かった…」
『うーわー…相当重症だな。今はどうだ?』
「無理やり学校の方に気を向かせてる。【楽しみにしてた】って言ってたし、多分大丈夫だと思う。それよりさ」
『ん?』
「兄さん、優にキスはしてたんだね。今何処まで手ぇ出してんの?」
『……幽、お前今、割と本気で俺に怒ってる…よな…?』
「今度俺んちに泊まらせるから。で、何処まで手を出したの?」




◆◇◆




夜八時過ぎ・池袋サンシャイン通り。

「うぁ~、疲れたぁああああ!!!めっさ楽しかったぁぁあああ!!けど人ギューギューで電車さぶいし嫌やぁ!!!!」
「お前なぁ、感情は一個ずつ吐き出せよ。どれから聞けばいいのか分かんねぇだろ…」
「まぁいーじゃねーの。楽しかったんだもんな?」
「めっちゃ楽しかったぁあああああ!!もう何かあんな人とリアルに喋れるとかめっちゃ感動!!しかもノリ良かったしえぇ人やったし!!」

結局話しに話し込んだらしく、優が学校から出てきた時にはもう七時半を回っていた。
そしてケータイで静雄に連絡を取り、現在に至る。

「つーか何か優くん、ちょっと薬品臭くねぇ?」
「うわやっぱ?何や話が盛り上がりまくってまって、特別に色々中も見学もさせて貰ろたら薬品臭が…」
「どんな内容の学校なんだよ?」
「あ、今から飯やし知らん方がえぇ。特に静兄は繊細やからダメ絶対。ちゅーかいっぱい論文くれてん!重いからこの紙袋持って?出来れば俺もおぶって?」
「荷物だけな。お前は歩け」
「うわ酷っ。トムさん静兄冷たいー年下虐待―」
「だからって俺もおぶるのは無しな。俺らも仕事終わりで疲れてっから」
「ケチぃ!!」

全くいつも通りの優。相当学校が楽しかったのだろうか?
それならそれで良いのだが、静雄は『あの状態』からそう簡単に普段値まで戻ってくるとは思っていない。



「何や俺、コッチ来てから初めてこんな場所歩くわ。やっぱ夏休みやしガキも多いんね?」
「え、歩いたことねーの?」
「コイツ、家とスーパーと見学する学校以外は極力外出ないんスよ」
「暑いもん!!別に街とか興味無いし、学生は色々やる事多いんやって」
「運動不足になんべ?」

あの平和島静雄が女の子を連れて歩いている。
傍から見れば完全にそう思われているこの状態の中。


  「シーズーオさーんっ!!」


大声と共に何かがドンっと静雄の背中に張り付いた。
この出会い方しか出来ないのかと、静雄が溜息を付きながら背後の女の子をベリッとひっぺがし前に持ってくる。

「またかよマイル…」
「へへっ!だって静雄さん見つけちゃったんだもん!」
「だからって背後から接近されんのは好きじゃねぇよ。普通に前から来いよ。避けるから」
「避けられたくないから後ろから行くの!!」
「あぁ、クルリもいるな。夏休みだからってあんま夜中まで外ほっつき歩くなよ?まだ中坊だし」
「久(こんばんは)…」
「来年は高校生だもんねー!!」

何だか珍獣と珍獣がセットになってW珍獣やーと、優がぼんやり思っていたら。

「優くん、この双子、幽のすっげーファンなんだわ。んで静雄の事も好きなんだと」
「へぇー」
「三つ編み眼鏡がマイルで大人しいほうがクルリだってよ。流石『あの折原臨也の妹』って感じで相当頭イってんべ?」
「オリハラ?」
「あぁ、知らね?新宿の情報屋でよぉ、いっつも静雄とバトルしてるヤツ。全身黒服に黒コートで直ぐ分かる」
「あぁ【一人熊谷】か!!知っとる知っとる!!」
「誰ソレ?」

トムの説明で優は自分を堂々と強姦しに来た男を思い出した。
ただし既に名前は忘れて『一人熊谷』という固有名詞に変化して、だが。


「はぁー、熊谷て妹おったんや……ウチのがだいぶマシっぽいけど…」
「優くんって妹いんの?」
「うん、めっさ怖い悪魔が一匹。しっかし中坊に好かれる静兄てレアなもん見たわー」

写メでも撮ろうかとケータイを探っていたら。
また学校関係のメールが来ていた。ずっと切っていたから気付かなかった。
内容を開いた瞬間、優の表情が変わる。

「あっ!!ちょ、クル姉!この人こないだ幽平さんと一緒に映ってた女…じゃ…ない。ありゃ?」
「違(おとこのこ)…?」
「あぁ、俺は二人の従兄弟で夏休み使こて遊びに来ただけや。幽兄にたまたま車出して貰たんを勘違いされてん」
「静雄さん本当?!え、名前は?!」
「学生証見せよか?見せても通じん人種に今日出会ったけど…。はい、平和島優(すぐる)。しっかり男。こんな声の低い女が幽兄の彼女はんとか嫌やろ?」

優の差し出す学生証と本人を二人が見比べている。
何故見比べる必要があるのか優には良く分からないが、あの『一人熊谷』の妹達なら恐ろしいほど中二病だろうと既に思っている。
何せ二人の兄貴は会話が通じなかったのだから。
静雄は優の表情が『少し寂しそう』になっているのに気付き焦る。この二人はとにかく厄介だ。

「違(おんなに見える)…」
「って言うか高校生とか嘘でしょ!?二年だなんて尚更!!クル姉これ偽造だよ偽造!!ちょっと今何処に住んでる訳!?」


  本日二回目の学生証が通じない人種に遭遇だ。
  どうして学生証と言う顔付きの立派な身分証明書を疑うのか、本当に意味が分からない。


「俺の学生証の価値って何やねん…。今は静兄の家に世話んなっとるよ。んで嬢ちゃん達は自分らの兄ちゃんを殴りに行って来ぃ」
「幽平さんだけでなく静雄さんまで!?ちょっと何様なの幽平さんは皆のアイドルであってアンタのアッシーじゃないの!!」
「アッシーちゃうし…。そんなん言うのファンとして、幽兄に失礼ちゃうん?」
「煩いな!!ファンを悲しませたんだから、あたしが代表としてアンタを殴らせて貰う!!」
「おいマイルいい加減にしろ!!」

飛んでもない言いがかりも良い所だ。
だが所詮は中二病。しかも様子を見るに末期手遅れ。何を言っても無駄だと優は判断した。

「えぇよ。グーはアカンけどパーなら一発だけな?」
「優っ!?」

瞬間、優は静雄に『止めるな』と手を差し出し、マイルの平手が優を襲った。
激しい音が鳴ったが、騒音激しく全く気づかれない。

「…マイルやったな?気ぃ済んだ?」
「あんまりしない!!この位で気が済むとでも思ってんの?!」
「そうかぁ…まぁどうでもえぇけど、もうちょい平手の練習せぇやヘッタクソ…。ほな、次俺な?」
『「えっ?」』


トムと双子は、今優が何を言ったのか分からない。
静雄だけが、『ご愁傷さま』と一人心で観念した。


「なん?俺は『一発は殴ってえぇ』て言うただけやで。やり返しやん?俺マゾでも無いし普通に痛いし」
「ちょっ、女に手ぇ上げる気!?サイテー!!」
「そういうテンプレ台詞に逃げるから中二病患者やねんお前ら。俺なぁ、女性は大事にするけど、躾のなってへんアホな女は別。大嫌いや」
「―っ!!」

淡々と喋る優に危機感を感じたのか、マイルが距離を取り一気に地を蹴って飛び蹴りを放つ。
一般人なら確実に入る攻撃だ。


 「!?」


だが優には当たらなかった。フラっと横に避けた。
ただそれだけだ。そして。

「あっ、れっ…動けなっ…?」
「参!(マイル!)…」

着地と同時に、ぺたりとそのままマイルは動かなくなった。
身体が全く言うことを聞かないのか、そのまま地面に倒れてしまった。

「俺こんなナリやしよぉ勘違いされんねんけど。喧嘩は嫌いなだけで、弱い訳では無いんよ?意気がってんちゃうぞガキが」
「っかつくっ!!!!」
「ハイハイ。5分くらいで動けるから、ずーっと長々と『こんなヤツに負けた』って敗北感噛み締めときや?…死ね」

一瞬で凍るほど冷たい一瞥を双子に寄越す。
綺麗な顔立ちをしているからこそ、一層強烈に恐ろしさを増す。
双子も恐怖を感じたのか、何も言い返すこと無くトムたちを見送った。




◆◇◆




池袋サンシャイン通り・露西亜寿司。

「はーい、俺アラ汁頼んますー!!」
「元気なのはいいけど、痛くねぇのかよ…」
「痛いよ。当たり前やん静兄ちゃうねんから。ちょお口ん中切れたしお茶染みるわー」
「はぁ…優くん、アレは一体どういうマジックを…。あと喧嘩とか…」


マイルが完全に自由を奪われた。それに加えてあの人格が変わったかのような冷たい表情。
格闘道場に通っている相手を簡単に交わしたのだ。『喧嘩慣れ』の域を越えている。
カウンターで貰った論文に目を通している優が不思議そうにトムを見る。

「マジック?静兄、何も言うてへんの?」
「言ってねぇ…」
「ちゅーかトムさん、俺男子校やしこのナリやもん。嫌でも喧嘩慣れはするよ。けどやっぱさっきの、頭湧いとるけど女の子にはキツい事言うてもーたなーて…可愛かったのはホンマやし…」
「いやソコ落ち込むとこじゃねーべ?」
「女子貴重やねんて!俺アカン事したわぁ…うーわめっちゃ自己嫌悪来た…」
「じゃなくて、何でマイルが動けなくなったのかのタネ明かし!俺が知りたいのはソコ!」
「あぁ。コレ」

優がポケットからチャリっと何かを取り出す。
サッと組み立てればそれは医療用の鍼(はり)だ。何種類もの太さと長さがある。
それと一緒に手のひらサイズの小さな擂り粉木のような洋ナシ型の棒。

「俺、ツボ押しと鍼出来るから。あのマイルって子にそれやって痺れさせただけ。何の後遺症も無いよ」

 
   マイルが飛び蹴りを食らわせてきた、あの一瞬で?


「……あっさり言うけど、それって資格がいるよな?」
「ちゃんと持ってますー。整体師と鍼師のん。流石に素人見真似で使うには危ないもん。普通にマッサージとかも出来んで?」
「マジかよ…」
「まぁモノは使いよう。俺小さいし大きい得物はよう使いこなせん。鍛えても全然力付かんから。コレなら俺でも護身にはなるし」

はぁ~、とトムが溜息を吐く。

「ぁんだよ…。なんか静雄から『苛められてる』みたいな事聞いたから結構心配したんだぜぇ?」
「うわ、そない心配してくれはったん?!嬉しいけど俺やっぱ弱々しく見えるんや…」
「取り敢えず喧嘩慣れしてるようには見えねーべ…。男子校って聞いたから多少納得したけどよぉ。静雄もお前、何で黙ってたんだよ?」
「ちゅーか静兄、むしろ何でトムさんにそないな事言うたん?心労掛けさせてまったやん!!」
「えっ、いや、いきなり同時に聞かれても…」

静雄が二人に責められている最中。
やっと二人の握りと優のアラ汁が来た。

「つか食いましょう!優、お前もなんか握り頼めよ?汁物だけだと夜中に腹減るから!」
「うわ話の逸らし方ヘッタクソ………あっ!」
「何だよ!?」
「いや失敬。ちょお電話。さっきメール来たん忘れとった。せやせや、やっとかんと。奥座席借りまーす」

そう言って優はケータイを持って空いている奥座席に行ってしまった。



「…で?静雄、お前何で『優くんは大丈夫』って黙ってたんだ?」
「いや、別に黙ってたわけじゃ…。つかアイツ今日、滅茶苦茶機嫌悪かったんスよ…」
「あぁ、マイルの時か?ありゃビビったけど、そんなにキれてる感じでも無かったぜ?」
「いや、朝からです。優の場合は黄昏ながら静かにキれる時がマジなんスよ。まだストレス全然取れてねぇし…まぁ一日寝れば戻りますけど」
「何でソコまで怯えてんだお前?そういやマイルの時もお前、止めなかったよな?」

ズーっとお茶を啜りながら、池袋最強の目は遠い。
これは従兄弟という事を抜いても絶対に相手にしたくない時の顔だ。


  「トムさん…再起不能になりたく無いでしょ。まだ」
  「はっ?」


再起不能、とは?

「今回はガキの女だから何も無かったけど、相手が男だったらツボや鍼で『一生半身不随』とか『男として再起不能』とか、普通にやらかしますよ…」
「う、わ…」
「だって飛び蹴りの最中に正確に鍼刺すんスよ?入れる長さや場所を外したら即死するような怖い得物を正確に」
「…………」
「アイツの場合は治療はおまけで、あくまで『喧嘩の得物』として使ってるから怖いんスよ。俺も幽も小せぇ頃から餌食になってきてるんで…」
「え、でも資格持ってるって…」
「確かに持ってますけど、取ったのは去年ッス。それまでは無免で『ガチ得物』でした…」

冷静に考えて、トムは体中の体温が下がっていくのを感じる。

「……。すまん静雄。あそこの可愛い少年はそこまで非道な性格なのか?」
「まぁ『余程キれたら』の時限定スけど。優はアレなんですよ。なんつーか、俺や幽と同じで一線超えたら名前と逆の性格になるっつーか…」

  見境なく自己中で、誰よりも残酷になりますよ?



少し静かにしていれば、先程も聞いた優の凍るような冷えた声が聞こえてきた。

「お晩どすー。お前の大嫌いな平和島や。俺がおらんかってえらい学校で調子こいとるてな?お前て何でそんなに俺が嫌い?俺お前に何やした覚え無いねんけど…」
【…!!~~!?】
「ふーん?まぁええわ良ぉ解らん。お前、『学校の外』まで手ぇ回したやろ?…俺かて学校内だけやったら許そ思とったわ。けどお前やり過ぎ。何で『俺以外』にも手ぇ出すん?」
【!……―!!】
「あーもう言い訳遅いし、証拠全部揃ってんねん。俺は別にお前なんか眼中に無いから何されても気にせんけど、身内は別や。…死なん程度は吊るすで」
【―!!~!?……!!!!】
「さぁ誰が動くんやろねぇ?俺がストッパーになってやっとったんに。皆怒ってんで?もう止めれんよ?つか、こっから遠いし行かんし、俺に止める義理無い」
【!!!!!!!!】
「ほなまぁ、仲間と一緒に退学処分受ける前に自主退学し?俺的に家電で直接ご家族に話して『今回の事』に巻き込みたい程ムカついた。あ、飯冷めるからこんで。二度と電話せんけど」


そこでピッ、と優はケータイを切った。
そしてカウンターに苦笑しながら戻ってきた。静雄の判断でストレスは残り五割程度だろう。


「はー、まぁ終わりかなぁ…もー勝手にやっとって…。俺知らんがな…」

ブツブツ言いながら少し冷めたアラ汁をずーっと啜る優。

「お前、今のって朝言ってたお前に目ぇ付けてるヤツか?」
「ん?そうそう。アレからも色々発覚してまって、もう押さえが効かんくなって。それにアイツ、いっちゃんやったらアカン事したからもう知らーん…」
「何やらかしたんだよ?」
「ウチの高校が毎年来て貰っとる女子高にまで手ぇ回しよった。女子はアカン!女の子にまで色々やられたら俺も腹立つし!!」
「…思春期をすっげー謳歌してんのな…」
「そらそうや!?女子が来るから頑張っとんのに!みんな出会いのために必死やねん!!邪魔されたら普通に怒るやん!!!」


  確かに男子校ならば女子は貴重な存在だ。
  だが、だからと言って相手をこうも簡単に退学に持ち込めるものなのか?


「優くん…。君は学校でどれだけ権力をお持ちなんだい?」
「はぇ?全然無いよ。俺好き勝手に楽しんどるだけやもん。誰にも付かん。今回は裏側から来たから同じく裏側から潰しただけ。表に出たら皆が迷惑やし」

キョトンとした優の表情はやはり可愛らしいが。

「…ごめん、トムさんには今時の男子高生が良く解らんよ…女の子を大事にしてるのは痛ぇほど分かったけど…」
「えー?むしろ何が分からん?俺変なこと言うた?」
「言ったんだけどな?どうやって説明しようか纏まんねー…」
「トムさん、優は『そう思ってる』んスから。何言っても無駄ッスよ」
「俺普通の事しか言うてへんし常識持っとるわ!!おいちゃん静兄に涙巻きメガ太巻きで!!」
「馬鹿お前っ!今の無しですから!!食えるか!!!」
「食えや根性出せぇ!!」
「根性出る前に涙と鼻水出るんだよ!!」

ギャーギャー騒ぐ平和島の二人。
もう無視していようとトムがシカトを決め込もうとしたら。


「ん?…優くん貰った論文だったか?何か折れてっけど大丈夫か?」
「げっ!アカンアカン!!折角貰たんやし大事に読まんと」
「…イムバ、ル…?優、お前何だコレ?読めねぇ」
「どっかの呪文か…。『エンバーミング』や。アカンよ、静兄は乙女のハートやから知らん方がえぇ。特に飯中は」

そう言いながらパラパラとめくり折れ曲がってしまった場所を真っ直ぐに直す優。
気にならないはずがない。そして静雄は見てしまった。中身の写真を。

  
   露西亜寿司に静雄の大絶叫が響き渡り、急いでサイモンが中に戻ってきた。


「あーあ…せやから見たらあかんと…。しかも【DT-4の遺体】て神がかって運悪いなぁ…」
「そういう言い方された方が興味が湧くのが人間ってもんよ。…優くん、ちょっと分かっててやっただろ?」
「トムさんは知ってはったんや。ちゅーか、ここまで本気ビビりとは…」





エンバーミング…遺体を消毒、保存処理を施し、また、必要に応じて修復し、長期保存を可能にしようとする技法。
  DT-4…エンバーミング処置不可能な状態の遺体。
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プロフィール

寅丸

Author:寅丸
アニメが終わってからデュラの存在を知った可哀想な感じの人。原作しか知りません…orz。きっと静雄と派生が好きだと思う。ケロロは電波黄色と喧しい。10年目でいきなりハマった。なので【今更】。ピクシブ  呟き

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